Form of love
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「んん…」
ミナは身体を起こす。
どうやら生徒会室のソファで寝ていたようだった。
ということは…
(夢じゃなかったんだ…)
窓の外はもう明るくなっていた。
「…朝?」
「起きたか?」
「…?!…アスランさん…」
アスランはソファの後ろ側に立ち、ミナの顔を覗き込む。
「おはよう、ミナ」
「お、おはようございます…」
「起こそうと思ったんだがな…気持ちよさそうに寝ていたからそのままにしてしまった。
すまなかったな?」
「いえ!!むしろすみません…私のせいでアスランさんまでここで…」
「いいんだよ、ミナの寝顔を見れて癒されたしな」
「な…!!」
ミナはその発言に赤面する。
そんなミナをみてアスランは微笑み、愛おしそうにミナの頭を撫でた。
アスランの様子はいつもと変わらず、それが逆に恐ろしさを感じる。
「そうだ。ミナは今日予定あるのか?」
「いえ…特には」
「そうか、なら買い物に付き合ってくれるか?」
「……買い物ですか?」
「あぁ…実はカガリの誕生日が近くてな。プレゼントを買わなくてはと思ったのだが、女の欲しいものはよく分からなくて…」
「なるほど。そういうことでしたら…」
どちらにしても断ることはできないが、理由も理由だった為素直に受ける。
「だったら一度部屋に戻るといい。1時間後に迎えに行く。」
「…わかりました」
返事をすると一礼し、生徒会室を後にする。
部屋につき、シャワーを浴びながらミナは考える。
(アスランさん…普通だったな…)
昨日の出来事が嘘のようだった。
(もしかしたら…アスランさん疲れてたのかな?
それで変なことしちゃったとか…?)
都合のいい考えだとは思ったが、そうあって欲しいと願っていた。
シャワーを終えると私服に着替え、軽くメイクをする。
全てを終え時計を確認するともう約束の1時間後になるところだった。
するとちょうどビーっと呼び出し音が響く
アスランだろう。
(さすが…時間ぴったりだ…)
急いでドアを開ける。
すると私服に着替えサングラスをかけたアスランが部屋の前に立っていた。
アスランは有名人である為、学園の外に出るときはサングラスをかけている。
「準備できたか?」
「はい…」
「じゃあいこうか」
そういうとアスランはミナの手を取り歩き出す。
ミナは相変わらず何事もなかったかのようなアスランに困惑し、手を繋ぎながらも少し距離を取る。
寮を出ると、車が1台停まっていた。
アスランが用意したリムジンだった。
2人が乗り込むとリムジンは走り出した。
「急にすまなかったな?」
「いえ…」
「そういえば朝食は済ませたのか?」
「あ、いえ…まだなんです」
「そうか、よかった」
そう言うとアスランは座席に置いてあった紙袋を取り、ミナに渡す。
「これは?」
「ベーグル、シェフに作ってもらったんだ」
「え!?いいんですか?」
「あぁ、俺はもう食べたから」
「ありがとうございます…いただきます」
紙袋からベーグルを出し、一口食べる。
「…!!おいしい!!」
「フフ、それはよかった」
昨日のこともあり緊張していたミナだが、ベーグルの美味しさで顔が緩む。
「やっと笑ってくれたな?」
「へ…?」
「ん…パンくずついてるぞ?」
「えぇ!?どこですか!!」
そう言い顔を擦るがどこにもついていない。
「ははは!すまない、うそだ」
「もう///アスランさん!!」
アスランとミナはもういつも通りに戻っていた。
ミナは、やはり昨日のアスランは少し疲れていただけなのかと思い始めていた。
だからといって許される行為ではなかったが…
リムジンは町の中心部に停まる。
アスランはミナに手を差し出し、ミナも手を取る。
そのまま手を繋ぎ(というかアスランが離さなかった)、街を歩く。
最初に向かったのは高めのジュエリーショップ。
「わぁ…!きれい…」
ミナは今まで見たことのないジュエリーに釘付けになる。
「やはり女はこういうのが好きなのか?」
「好きだと思います!だって女の子の夢じゃないですか…男性からジュエリーをもらうのって」
「そういうものか?ちなみにミナはどれ好きなんだ?」
「…カガリさんの贈り物を選ぶんじゃないんですか?」
「聞いてるんだぞ、ミナ」
そうだなぁ、と呟きショーケースを眺める。
「私はこのネックレス、ですかね」
そういうとエメラルドの入ったネックレスを指差す。
特に理由はなかったが、この中で1番きれいだと思ったのだ。
「そうか、参考にするよ」
そういうとアスランは一通りショーケースの中を確認し、店員に声をかける。
決まったのだろう。
ミナは店の出口近くで待つことにした。
やりとりを終え、紙袋を持ったアスランはミナのもとに合流する。
「すまなかったな、付き合わせて」
「いえ、いいんです。お役に立てたでしょうか?」
「あぁ、ありがとう」
そういうとアスランは優しく微笑み、ジュエリーショップを後にする。
その後近くのカフェで早めの昼食をし、街を散歩する。
「頻繁に街には来るのか?」
「いえ、私が転入してすぐアスランさんに連れてきてもらったとき以来来てないです。」
「なら1ヶ月ぶりといったところか」
街に外出するには外出届けがいる。
それが結構厳しく、重要な用事がない限りは許されない。
もちろん生徒会は別だが…
ただキラたちは嘘を書いて時々街に出ているようだった。
ミナも誘われたことはあるが、生徒会の仕事もあり毎回断っていた。
1ヶ月前に来たときは自分の精神が弱っていて街の騒がしさが耳障りだったが、
今はその騒がしさに少しワクワクしている。
もともと自分が住んでいたのは田舎だった為、都会に憧れていたのだ。
周りをキョロキョロ見渡すミナに、アスランは子供だな、と笑う。
それから少し歩くと街中の大きな公園につく。
「わぁ…街にもこんな公園あったんですね!!」
ビルがたくさん並ぶ中にある緑の多い公園。
なんだかとても落ち着く。
2人は公園のベンチで休憩する。
「今日はありがとう、助かったよ」
「こちらこそ、こんな素敵なところに連れて来てくださりありがとうございます!」
「…ミナ…少し目を瞑ってくれるか?」
「え…?」
何をされるか少し警戒したが、言われるがまま目を瞑る。
首元にひんやりしたものが当たる。
「もう開けていいぞ」
「…あっ」
目を開け自分の首元を確認すると、そこには先程のエメラルドのネックレスがかかっていた。
「これ…!?」
「もらってほしい」
「そんな…頂けませんよ!」
「いいんだ、今日のお礼と…ミナが俺のものだという証だ」
「…っ!?」
その一言で…現実に引き戻される。
そしてアスランが昨日言ってたことは本気なのだと確信した。
アスランの瞳は昨日のギラついた瞳に戻っていた。
「ちなみにカガリの誕生日が近いというのは…嘘だ」
「え…」
「カガリの誕生日は5月18日…お前が転入して来る前だな」
ミナが転入して来たのは5月末…そして今は6月末。
つまりカガリの誕生日はとっくに終わっている。
「そう言わないとミナは来てくれなそうだったからな…」
「じゃあプレゼントは…」
「買っていない」
つまりあのジュエリーショップは自分の為に寄ったことになる。
またもアスランに騙された。
「ミナ、俺はお前を愛している…もう我慢はしないからな」
そう言うとそっとミナに口付けをする。
ミナは何も言うことができず、ただ固まっていた。
その後公園を後にし、待たせているリムジンの元へ歩く。
先程までの雰囲気は消え去っていた。
「あ…あれは…」
アスランはそう呟くとミナをそっと引き寄せ何かから隠す。
「あ…アスランさん!?」
「いいから、そのままでいろ」
少しすると、アスランはミナを解放する。
「……どうかされました?」
「いや、なんでもないんだ…少し帰りが早かったな」
「…?」
それ以降会話はせず、リムジンに乗り込み寮へ帰って行った。
アスランはミナを部屋まで送り届ける。
「おつかれ、明日も休みだからゆっくり休むといい」
「…はい、ありがとうございました」
そういい、扉を閉めようとすると
「ミナ」
「はい?」
「昨日と今日のことは誰にも話すな、いいな?」
「…わかりました」
今度こそ扉を閉める。
その瞬間ミナは床へと崩れ落ちた。
「はぁ……」
ため息が漏れた。
これからの事を考えると気が重い。
その頃アスランは…
「俺のことだけを考えていればいい…」
1人妖しい笑みを浮かべていた。