セラムン夢
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学校の授業が終わり、もう帰ろうとした玲花だったがある声で動きを止めた。
「玲花ちゃんっ!」
「え?」
その声で振り向くと、この間"お友達になろう"と声をかけてくれた"月野うさぎ"がにこにことした笑顔を向けコチラを見ていた。
「月野さん?どうしたの?」
「この前私の友達を紹介するって言ってたじゃない?今日よかったらみんなでお茶するんだけど玲花ちゃんもどうかなって!」
「う、うん。今日はお仕事もないし、大丈夫だよ。」
「やったー!じゃあ、クラウンに一緒にいこう!」
クラウンとは、うさぎたちがよく集まっている場所らしい。
この学校にはうさぎの友人が3人いるらしく、クラウンまで一緒に行くようだ。
うさぎに紹介され、お互い自己紹介をした。
「はじめまして!あたし、愛野美奈子でーす!HIKARIちゃんの歌、よく聞いてます!私アイドルを目指してて、よかったら色々教えてね!?」
「私は、木野まこと。同じクラスなんだし困ったことがあったら遠慮せずなんでもいってくれよ!」
「私は水野亜美です。隣のクラスだけど、よかったら仲良くしてね?」
「HIKARIこと金野 玲花です……よ、よろしくお願いします。」
元気で明るい人ばかりで、人慣れしていない玲花は萎縮してしまった。
また別の学校にもお友達がいるらしく、その子とはクラウンで落ち合うらしい。
思ったよりうさぎの友人が多く、玲花は緊張してしまい……クラウンに行くまでの間はうさぎの影に隠れていた。
クラウンに着くと、すでに紹介されたいた少女"火野レイ"が先で待っていた。
「遅いわよ!うさぎ!」
「あ、玲花ちゃん、このいじわーるそうな子がねぇえ?」
「うさぎ、あんたなに吹き込んでるのよ!!……ゴホンっ!私は火野レイ。学校は違うけど……仲良くしてね♩」
「あ……よろしくお願いします……」
それからみんなで席に座り、HIKARIの話をたくさん聞かれた後、女子高生が話すのであろう話題で盛り上がった。
その中で、うさぎの彼氏である"まもちゃん"がアメリカに留学していたことがわかった。
そしてスリーライツ、流行りのスイーツの話、ファッション……
(なにも……わからない……)
玲花はなにひとつ話についていけなかった為、ただ周りの状況を見ることしかなかった。
そして心配した亜美が玲花に話しかけてきた。
「玲花ちゃん大丈夫?具合悪かったかしら?」
「あ、ううん……私、こう言う話に疎くて……友達もいなかったし……」
「「え……」」
待っていたのは沈黙だった。
一気に空気が冷え切ったように感じて、玲花は余計なことを言った、と後悔していた。
「玲花ちゃん、こんなに有名なのに?」
「あ!お仕事が忙しかったってことよね!?」
驚くまことと、気を遣ったのかそう聞いてくる美奈子。
「あ、いや……」
(本当のことを言ってしまったら、みんな困るに決まってる……)
そう思った玲花が言い淀んでいると、そっとうさぎが玲花の肩に手を置いてきた。
「何か……困っていることがあったら話してみて?」
「え……」
うさぎはとても柔らかな笑顔を玲花に向けていた。
その笑顔を見た玲花は、伝えることにとても悩んでいたのも忘れるくらい、この人なら大丈夫……不思議とそう思えた。
そして自分の生い立ちを話した。
自分の記憶がないこと、家族がいないこと、記憶を探すために歌を歌っていること……
みんなは真剣な表情で話を聞いてくれた。
「そうだったのね……」
「自分の記憶がないなんて大変だよな……」
レイとまことが心配そうに呟く。
「病院へはいったの?」
亜美の質問に静かに頷く玲花。
「ごめんなさい……ほぼ初対面なのにこんなこと話しても困っちゃうよね……」
「そんな!気にしないで!それより私たちも記憶を取り戻すために協力するわ!」
「え……?どうして?」
美奈子のその言葉の意味がわからなくて、私は自然と口から疑問がでていた。
「だって私たちお友達だから!お友達が困っていたら助けるのは当たり前でしょ?」
そういうとうさぎは、人差し指をたててウインクをした。
(おともだち……だから?)
普段から友達のいない玲花には、これが普通なのかよくわからなかった。
ただ、5人の優しさがとても暖かくて…… 玲花は自然と涙が流れた。
それから泣き止むまで、5人に介抱してもらった。
しばらくしてそろそろ帰ろうという話になり、クラウンを出た。
「みんな……今日はありがとう!とっても嬉しかった!」
「また何かあったら言ってね?」
「うん!それじゃあまたね!」
そういうと玲花は、5人とは反対方向に歩いていった。
帰りながら、先ほどまでの出来事を思い出していた。
社長やマネージャー以外で記憶について知るものはいなかったが、今日初めて"お友達"に話すことができて心がとても軽くなった。
「お友達……か。」
胸がポゥッと温かい。
今まで感じてこなかった気持ち。
玲花は改めて学校に来て、うさぎたちに出会えてよかった、と思った。
一方、別れた直後のうさぎたち5人は……
「玲花ちゃんにそんな過去があったなんて……」
「結構無理してたんだな……」
美奈子とまことが歩いている後ろ姿を見つめながらそう言う。
「私たちにも、できることがあるといいんだけど……」
「そうね……でも今のところは応援することしかできないわね。」
亜美とレイも、無念そうに呟く。
「きっと大丈夫だよ。だって玲花ちゃん、諦めていないもん!諦めなければ……きっとみつけられるよ。大切な記憶を。」
うさぎのその言葉に5人は頷き、帰路へと向かうのだった。