セラムン夢
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「え、動物?」
「そう、動物。」
「飼っていないけど?」
「なんだよ……つまんないなぁ。」
「む……」
夜天から急に動物を飼っていないか、と問われ答えたらこれだ。
最近毎日こんな様子の為、まぁ慣れたが……
「んで?動物を飼っていたらなんだったの?」
「少し貸してほしいと思ってね。」
「……は?」
「実はスターのペット拝見!っていう番組のオファーを引き受けたんだけど……動物を飼っていなくてさ。」
「……はぁ。あなたたち仕事ならなんでもいいの?」
「そんなわけないでしょう。」
呆れている玲花に、話を聞いていた大気が食い気味で否定する。
「夜天が勝手に受けたんだぜ!?本当いい迷惑だぜ……」
「……仕方ない。放課後デパートにでも行ってみてくるしかないか……」
星野の嫌味を聞いてるのかいないのか……夜天は諦めたようにそう呟いた。
どうやら頭の中は番組のことでいっぱいのようだ。
「それより最近玲花は夜天と仲良いよな?」
「そ、そんなことないよ!夜天くんが勝手に話してくるんでしょ!?」
「なんだか2人が言い合いしてるのを見ると昔のことを思い出すよな?」
「本当ですね。微笑ましいです。」
「え……やっぱり星野さんと大気さんも私のことを知っているの?」
夜天だけが知っている……とは考えられなかった為、その可能性はあると思っていた。
しかしいざ言われると心の中がざわざわする。
「まぁな。というかその"さん"っていうのやめねぇか?」
「そうですね、なんだか気持ちが悪いです。」
「気持ち悪いって……じゃあ星野くんと大気くん?」
「わぁ……呼び捨ての方がしっくりくるんだけど……今はそれでいいか。」
「仕方ありませんね。」
以前の玲花は彼らを呼び捨てで呼んでいたのだろう……
しかし覚えてない以上、馴れ馴れしく呼ぶことには抵抗がある。
いつかは呼び捨てで呼べる日が来るのだろうか……
それから数日後、玲花は仕事を終えマネージャーと事務所へ戻ってきた。
疲れている為、すぐにソファに腰掛ける玲花。
そんな玲花に、マネージャーはコーヒーを淹れてくれた。
「わー!ありがとう!お砂糖とミルク入れてくれた?」
「もちろん!HIKARIちゃんは甘党だものね。………それより、HIKARIちゃんって動物好き?」
「…………好きですけど。」
「そう!だったら……「スターのペット拝見!のオファーだったら受けないわよ?」
笑顔のまま固まるマネージャー。
まさかとは思ったが、どうやら図星だったのだろう。
「そう……残念ねぇ。」
「悪いわね。飼ってもいないのに引き受けるなんて私には考えられないわ。そ・れ・に!音楽に関係のない番組やイベントにはでない契約でしょ?」
「そうなんだけど……あの番組のプロデューサーってあの有名なMスタっていう音楽番組も担当してるらしくってね?番組にでたら出してくれるって話だったのよ……」
「……ふーん。」
(適当に仕事をとっているだけだと思っていたけど……ちゃんと考えていたのかな?夜天くんは……まぁ、私は出ないけど。)
マネージャーの話を聞き、玲花はそんなことを考えていた。
「あ、この時間だと今ちょうどやってるんじゃない!?確か今日のゲストはあのスリーライツの夜天くんよ!」
玲花の気が変わることを期待して、マネージャーはTVをかけた。
玲花も出る気はないが、知り合いが出るなら見てみようと思いTVに目を移した。
番組はすでに始まっており、夜天がインタビューを受けていた。
……黒い猫を腕に抱いて。
(あれから話聞いてなかったけど、猫ちゃんにしたんだ。……でもあの猫……)
「夜天くんやっぱりかっこいいわねー!」
「……あの猫、なんだか不思議な感じがする。」
「え、猫?夜天くんの抱いている?」
「……うん。あの額に三日月がついている猫。見ているとなんだか落ち着くような、そんな感じがする。私好きだなぁ。」
「そう?」
マネージャーはよくわからない、と言った表情で猫を見ていたが、すぐに夜天に釘付けになっていた。
(会ってみたいなぁ、あのこ。)
玲花も相変わらず猫を見つめ続け、気づけば番組が終わっていた。
「ねぇ!昨日の猫ちゃんとっても素敵だったわね!」
「あ、あぁ……まぁね。」
夜天を見つけると、玲花は興奮気味に昨日の猫について聞いていた。
結局あの後も、猫の事が忘れられなかったのだ。
「名前はなんて言うの?」
「……いや、それはまだ……というか、なんでそんなに気に入ってるのさ?」
名前はまだ?という疑問を抱えながらも、玲花は答えた。
「なんだかね……あの子を見てると温かいものを感じると言うか……落ち着くと言うか……不思議な感じがするの!」
「ふぅん。よくわからないけど……そんなに気に入ったんなら週末一緒に出かける?」
「え!?いいの?」
「別にいいよ。」
「なら、行こうかな!ありがとう!」
「………別に。」
思ったより早めに会える事になり、玲花は嬉しそうに鼻歌を歌っていた。
その隣の夜天は、めんどくさそうにしながらも口角は上がっており、それを遠くから見ていた星野と大気もまた、その光景が微笑ましかったのか顔を合わせ小さく笑っていた。