セラムン夢
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「これ、なに?」
「僕らのジョイントコンサートのチケットだよ。」
玲花が次の授業の準備をしているところに夜天がチケットとやらを渡してきた。
急なことで玲花は頭が追いついていなかった。
「なんで……私に?」
「………別にっ!余ったからあげようと思っただけだよ!いらないなら……」
玲花から渡したチケットを取り上げようと夜天が手を伸ばした瞬間。
チケットをまじまじとみていた玲花が急に興奮し立ち上がった。
「出演者って海王みちるさんも!?」
「……そうだけど…?」
「いく!!!」
「……は?」
腑に落ちない、夜天はそんな顔をしていた。
どうやら玲花は海王みちるのファンだったらしい。
きてくれることは嬉しいが、夜天目当てでないことに残念に思っていた。
「楽屋にいったら怒られるかな……?ただのファンだもんなぁ……」
そんな夜天の気持ちなんて知らず、みちるの話ばかりする玲花に夜天はだんだんと腹が立っていた。
「やっぱり返して!」
「わっ!ちょっとやめてよ!せっかくくれたのにー!」
そんな2人のやり取りは、次の授業が始まるまで続いた。
ジョイントコンサート当日。
玲花は、関係者ではあったが客席からコンサートを見ていた。
初めてみる生の海王みちるの音に、言葉にならない感動を覚えた。
と同時に、スリーライツの奏でる音にも何か懐かしく感じていた。
不思議な感覚を抱えながら、演奏は終わってしまった。
「3人ともおつかれさま!」
「おう!玲花きてたのか!」
玲花はジュースの差し入れをもってスリーライツの楽屋に来ていた。
星野がさっそくジュースを開け一気に飲み干す。
「夜天がどうしても誘いたい人がいると言っていましたが、あなたでしたか。」
「べ、別にそんなんじゃないし!余ってるチケット無駄にしたらもったいないと思っただけだから!」
大気が夜天をおちょくっていると、当たり前のように夜天がやけになって否定していた。
「それより、海王みちるのところにはいかなくていいの?」
「え、でも……初対面なのに行っていいのかな…?」
「俺、ちょっと彼女に用があるから一緒に行くか?」
「え!?行く!!!」
そういうと星野に連れられ、玲花は出て行ってしまった。
「……照れ隠しもいいですが、素直にならないと星矢に取られてしまいますよ?」
「うるさいなぁ。だからそんなんじゃないって!」
あきらかに機嫌が悪そうな夜天に大気は声をかけたが、おそらく今は何を言っても無駄だと察した大気はおとなしく帰り支度をしていた。
「緊張するなぁ……なんて言えばいいのかな?」
「そんなの、ファンなんです!って言えばいいだろ?俺が手本を見せてやるよ!」
「えー。なんか心配……」
玲花の心配をよそに、星野はみちるの部屋をノックし、返事を確認しドアを開けた。
「どうも、お疲れ様でした!」
「お疲れ様、良かったわよ?あなたたち。……あら?その子は?」
「あ……はじめまして!HIKARIとして歌手をしております玲花と申します……!」
「あら?よろしくね?今日はどのような?」
「えーっと……」
玲花が尻込みしていると、星野がすかさずみちるに話しかける。
「みちるさんのファンなんですよ、こいつ。それと……俺も。」
「まぁ、ありがとう。それにしても……あなたも?……ふふふふ、とてもクラシックを聴くようにはみえないけど?」
そのやりとりを見ているだけで、玲花は胸がいっぱいだった。
みちるのヴァイオリンの音色はとっても繊細で美しく心が落ち着くのだが、本人であるみちるもその通りの人だった。
「まぁ、いいわ。ありがとう。玲花さんもありがとう。私もあなたの歌を聞いたことがあるのよ?とっても素敵な歌声ね。」
「ええ!?あ、ありがとうございます!!」
「私、あなたたちのこともっと知りたいわ。」
「奇遇ですね、俺もですよ。」
「あらそう?じゃあ着替え、手伝ってくださる?」
そんな少し大人?なやりとりを見た玲花はさすがにそれは……と思い止めに入ろうとすると、ドアの向こうから声が聞こえてきた。
「入るよ?みちる」
「みちるさん!あら、星野に玲花ちゃん!」
「おだんご!」
「うさぎちゃん!」
まさかうさぎに会えると思わず、玲花は嬉しくてうさぎに駆け寄った。
はるかさんとやらはどうやらみちるの大切な人らしい。
「星野光です。よろしく。」
「……天王はるかだ。よろしく。」
挨拶の為、握手をするのだろう……だれがそう思っていたが、はるかが星野を殴ろうとした瞬間空気が一変した。
その拳は、星野が止めたことにより怪我に発展することはなかったが……星野は楽屋を出て行くことになった。
玲花も後に続いて出て行こうとすると……
「玲花さん、お構いできなくてごめんなさいね?またお話ししましょう?」
「あ、はい!みちるさん、ありがとうございました!はるかさんも……。それでは失礼します!」
一応はるかにも挨拶をし、玲花は楽屋から出て行った。