捏造☆彼目線
「はい、これ俺の服。お風呂入っといで」
「あの、部屋着はあるから持ってこなくていいって言った着替えって…津軽さんの服ですか?」
「そうだけど?」
俺の部屋に来る前に、何やらいろいろと取りに部屋に寄ったウサ。
その時、俺は『部屋着はいらない』と強~~く言った。
(……だって)
(俺の服着てるウサ見てみたいじゃん)
ちょっと邪な理由だったのは否めない。
* * *
「お客さん用のタオル、洗濯機の横の棚の1番上にあるから」
「お客さん用のタオル…」
ウサは何故だか考え込む表情をする。
まぁ…確かにあの子の為に用意したのかと聞かれたら、正直には答えられない。
「もしかして…一緒に入りたいの?」
「なっ…」
「仕方ないなー。そういうのは、もっと仲良しになってからって思ってたんだけど」
「ウサちゃんが温めて欲しいって言うなら…」
「お風呂、お借りします!」
そう言って着替えを受け取って、ぱっと後ろを向いた。
少しだけ見えた耳朶が赤くなっているように見えた。
(あんまり無防備すぎると襲われても文句言えないよ?)
* * *
「はー、あったまったー」
ウサの後、交代でシャワーを浴びてリビングに戻る。
「女の子が俺の服着てるって、なんかくるものがあるね」
「半ば強引にですが…」
(だから…そうでもしないと、こんな格好見られないからなんだってば)
* * *
「シャンパン開けるね。俺は誠二くんみたいに粗相しないから安心して」
「はあ…」
「…なに考えてんの」
「え」
「誠二くんにナデナデされた時のこと思い出してるんでしょ」
「いえ、別に…」
目の前のウサが、誠二くんのことを思い出している素振りなのが無性にムカついて。
その顔の前まで躙り寄ってやった。
苛立ち半分に零れた声は、取り繕えないほど低かった。
「ねえ、君…自分が誰のものかわかってる?」
「…私は私のものですが」
「ぶー、ハズレ」
「君は…」
そう言いながら、彼女の髪に手を伸ばした。
ウサはジリジリと後ろに下がって行ったけど、背中をソファに阻まれもう動けない。
「あ。あの…っ、パーティーは…せっかくいろいろ買ってきたんですし!」
「食べないと、もったいな…っ」
慌てて話を逸らそうとするのが可愛い。
「そんな慌てまくった顔して」
「そういうのが逆に男を煽るんだ」
(煽られそうだよ、ホントに…この俺がだよ?)
(これで無自覚なんだからタチが悪い)
「ぁ…」
あと数センチで唇が触れてしまうところまで追い込んだ。
ウサが息を止めたのが分かった、その時―――
突然部屋が真っ暗になった。
「ひゃああっ!?」
「な、な…っ!?」
驚いて声を上げるウサを、腕の中に閉じ込めてやる。
慌てた様子が手に取るように分かって面白い。
「ただの停電でしょ」
「言ったろ?水道がダメになったら、電気だってわかんないって」
「ず、ずっとこのままなんですか?」
「わかんない」
(ずっとこうして腕の中に閉じ込めておけたら……)
(どんなに幸せだろうか)
抱きしめながら、ウサのシャンプーの匂いが自分と同じものだと気づく。
気づいてしまって、胸の辺りがぐっと苦しくなったような気がした。
「あの、その、い、息が…っ」
「…息が苦しい?」
「え?」
「…俺も苦しい」
「え…」
(何でこんな気持ちになるんだよ……)
このまま抱いてしまえたら。
どさくさ紛れでもいい、この子を俺のものにしてしまえたら。
何度もそう思うのに……
「……」
声もなく彼女の顔を見つめてしまった。
(このまま…キスしちゃったら、ウサはどう思うかな)
「……」
その時、パッと部屋の明かりが点いた。
「…なんてね」
「!!??」
平然を装い嘯いた。
動揺を悟られないようにするのなんて、慣れてる。
「ウサちゃんも一応は女の子なんだし。ご家族にあまり心配かけないようにね」
「部屋に連れ込んだのは、そっちじゃないですか!」
「え、ウサちゃんたら、そういうつもりなの?俺、襲われちゃう?」
「食べるもの食べて、さっさと寝ますよ!明日も仕事なんですから!」
「サンタさん、こなかったねぇ」
窓の外を見ながら、いつものように呑気な口調で誤魔化した。
(今日のサンタさんは、ウサちゃんだけどね…)
(来年も一緒に過ごせたらいいのになぁ)
「あの、部屋着はあるから持ってこなくていいって言った着替えって…津軽さんの服ですか?」
「そうだけど?」
俺の部屋に来る前に、何やらいろいろと取りに部屋に寄ったウサ。
その時、俺は『部屋着はいらない』と強~~く言った。
(……だって)
(俺の服着てるウサ見てみたいじゃん)
ちょっと邪な理由だったのは否めない。
* * *
「お客さん用のタオル、洗濯機の横の棚の1番上にあるから」
「お客さん用のタオル…」
ウサは何故だか考え込む表情をする。
まぁ…確かにあの子の為に用意したのかと聞かれたら、正直には答えられない。
「もしかして…一緒に入りたいの?」
「なっ…」
「仕方ないなー。そういうのは、もっと仲良しになってからって思ってたんだけど」
「ウサちゃんが温めて欲しいって言うなら…」
「お風呂、お借りします!」
そう言って着替えを受け取って、ぱっと後ろを向いた。
少しだけ見えた耳朶が赤くなっているように見えた。
(あんまり無防備すぎると襲われても文句言えないよ?)
* * *
「はー、あったまったー」
ウサの後、交代でシャワーを浴びてリビングに戻る。
「女の子が俺の服着てるって、なんかくるものがあるね」
「半ば強引にですが…」
(だから…そうでもしないと、こんな格好見られないからなんだってば)
* * *
「シャンパン開けるね。俺は誠二くんみたいに粗相しないから安心して」
「はあ…」
「…なに考えてんの」
「え」
「誠二くんにナデナデされた時のこと思い出してるんでしょ」
「いえ、別に…」
目の前のウサが、誠二くんのことを思い出している素振りなのが無性にムカついて。
その顔の前まで躙り寄ってやった。
苛立ち半分に零れた声は、取り繕えないほど低かった。
「ねえ、君…自分が誰のものかわかってる?」
「…私は私のものですが」
「ぶー、ハズレ」
「君は…」
そう言いながら、彼女の髪に手を伸ばした。
ウサはジリジリと後ろに下がって行ったけど、背中をソファに阻まれもう動けない。
「あ。あの…っ、パーティーは…せっかくいろいろ買ってきたんですし!」
「食べないと、もったいな…っ」
慌てて話を逸らそうとするのが可愛い。
「そんな慌てまくった顔して」
「そういうのが逆に男を煽るんだ」
(煽られそうだよ、ホントに…この俺がだよ?)
(これで無自覚なんだからタチが悪い)
「ぁ…」
あと数センチで唇が触れてしまうところまで追い込んだ。
ウサが息を止めたのが分かった、その時―――
突然部屋が真っ暗になった。
「ひゃああっ!?」
「な、な…っ!?」
驚いて声を上げるウサを、腕の中に閉じ込めてやる。
慌てた様子が手に取るように分かって面白い。
「ただの停電でしょ」
「言ったろ?水道がダメになったら、電気だってわかんないって」
「ず、ずっとこのままなんですか?」
「わかんない」
(ずっとこうして腕の中に閉じ込めておけたら……)
(どんなに幸せだろうか)
抱きしめながら、ウサのシャンプーの匂いが自分と同じものだと気づく。
気づいてしまって、胸の辺りがぐっと苦しくなったような気がした。
「あの、その、い、息が…っ」
「…息が苦しい?」
「え?」
「…俺も苦しい」
「え…」
(何でこんな気持ちになるんだよ……)
このまま抱いてしまえたら。
どさくさ紛れでもいい、この子を俺のものにしてしまえたら。
何度もそう思うのに……
「……」
声もなく彼女の顔を見つめてしまった。
(このまま…キスしちゃったら、ウサはどう思うかな)
「……」
その時、パッと部屋の明かりが点いた。
「…なんてね」
「!!??」
平然を装い嘯いた。
動揺を悟られないようにするのなんて、慣れてる。
「ウサちゃんも一応は女の子なんだし。ご家族にあまり心配かけないようにね」
「部屋に連れ込んだのは、そっちじゃないですか!」
「え、ウサちゃんたら、そういうつもりなの?俺、襲われちゃう?」
「食べるもの食べて、さっさと寝ますよ!明日も仕事なんですから!」
「サンタさん、こなかったねぇ」
窓の外を見ながら、いつものように呑気な口調で誤魔化した。
(今日のサンタさんは、ウサちゃんだけどね…)
(来年も一緒に過ごせたらいいのになぁ)
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