朝焼けを貴方の腕の中で
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白み始めた空が見える頃。
「───ん……」
寝返りを打とうとして、温かい腕に包まれている事に気付く。
(誰……?)
半分寝惚けた視線を上げて、そっと顔を見た。
端正な顔立ち、長い睫毛に縁取られた瞳は閉じられ、微かな息遣いが聞こえる。
(!?)
(えぇっ!? 津軽さんの腕の中!? なっ…何で!?)
軽くパニックになりかけたが、彼を起こさないように声を飲み込んだ。
(えっと……この状況は……)
昨日は確か、パーティの潜入捜査で。
その後反省会をするって、津軽さんに呼び出されて……。
(あ、思い出してきた)
寝惚けた頭が完全に冴えた。
(思い出したら……すっごく恥ずかしいんですけどっ!!)
(私……っ 津軽さんと……)
ー ー ー ー ー
『反省会実施。そのままAホテル5166号に来るように』
潜入捜査の後津軽さんからメッセージが入ったので、指定されたホテルに向かった。
潜入時に着ていたドレスを着替える暇も無く、コートを羽織ったままなので何となく落ち着かない。
ノックした扉が開き、中からパーティ時に着ていたスリーピーススーツ姿のままの津軽さんが顔を出す。
「いらっしゃい。コート掛けて、座って」
「はい」
返事はしたものの、見慣れないスリーピーススーツ姿の津軽さんにちょっと見とれてしまう。
「入らないの?」
「すみません!」
ソファに座りながら部屋の中を見回して、ふと首を傾げた。
その様子が見えたのか、津軽さんが聞いてくる。
「何?」
「あ、いえ。百瀬さんは居ないのかな…と思って」
確か、このホテルの駐車場までは一緒に帰って来たはずなのに。
先に部屋に向かったんじゃなかったのかな。
「モモは反省会参加しなくても大丈夫だから」
「そうですよね……」
改めて言われると、頭を下げざるを得ない。
項垂れた私の隣に津軽さんが座る。
「反省会、しなきゃいけない理由分かるよね?」
「はい…」
「今日は、随分と注意力散漫だったね?」
「……すみません」
着慣れないドレスだし、確かにスリットが気になってはいたけれど。
それを津軽さんに見られていたとは……。
「あの場で何かあっても、あれじゃ直ぐに対応出来ない」
「はい…」
冷静な声が駄目出しをする。
返事だけで何も弁解出来ず俯いたままでいると、次の言葉には何故か苛立ちが含まれていた。
「それに……何で、モモに腰なんか抱かれてんの?」
「あれは……っ!」
思わずばっ!と顔を上げると、津軽さんとばっちり目が合った。
整った顔の長い睫毛の瞳に見つめられ、頬が赤くなる。
「今日のモモは、紳士で恰好良かった?」
「そんな事思ってません!」
「大体、百瀬さんと組ませたのは津軽さんじゃないですか!」
「そうだっけ?」
「………」
(津軽さんに話は通じない……)
反論を諦めて息を吐いた。
でもその後、彼の口から信じられない台詞が飛び出してきた。
「本当は、俺がエスコートしたかった」
「!??」
「なんで、あそこにいるのが俺じゃないんだろうって…モモに嫉妬した」
「な……!?」
(ちょっと待って!?)
(どういう意味~~~!?)
驚きのあまり声にならず、口がぱくぱくと動くだけだ。
それでもようやく絞り出した台詞は、さっき見た潜入捜査の津軽さんの様子だった。
「津軽さんは、対象者の美人さんと楽しそうだったじゃないですか!」
「うん、楽しかったよ?」
「………」
(デスヨネ)
まともな答えを期待するのがいけない。
何を言ってもきっとのらくらと躱されるだけだろう。
すると、津軽さんはぽつりと独り言のように言葉を零した。
「それでも、ウサの隣には俺が居たかったんだ」
「……っ」
「ウサのこと、好きだから」
(はい!?)
(今、何て仰いました!?)
びっくりしすぎて一瞬動きが止まり……はっと気付いた後、じんわりと顔が熱くなって来るのが分かる。
「じ…冗談は止めましょう?」
「冗談でこんなこと言えると思う?」
「津軽さんなら……」
(私、いつから津軽さんのハニトラの対象になったんだっけ?)
津軽さんは、ソファの膝を詰めるように座り直して。
さっき零した独り言のようなものではなく、私の目を見てゆっくりと、でもはっきりと言葉を紡いだ。
「俺は… ナツキの事好きだよ」
「う…嘘…」
「嘘じゃない」
(そんな事言われたって!)
(心の準備が~~~!)
そして上目遣いに私を見つめ、決定的クリティカルヒットとなる台詞を口にした。
「だから…俺のものになってよ。……駄目?」
上目遣いに見上げる瞳に射られたように動けなくなって……顔は、さっきよりも更に赤くなるのが分かる。
(そんな顔、ずるい)
(私だって津軽さんの事好きなのに……!)
そう思ったら、自然に言葉が溢れ出た。
「わっ…私だって、津軽さんの事好… っ……」
言い終わるより先に、唇を塞がれた。
「ナツキ──」
耳元で小さく囁かれる名前と、何度も角度を変え求められる唇が甘過ぎてどうにかなってしまいそうだ。
頭の隅がジンジンと痺れてくる。
「つが…さ……」
唇を重ねる合間に零れる、吐息ごと奪われるようなキス。
慈しむように触れてくる掌。
整った顔のイメージからは遠い、男の人の武骨な指が何度も確かめるように頬に、唇に、触れる。
いつもひんやりとしているその指先は、確かな熱を持っていた。
津軽さんは、吸い付くように唇を寄せた首すじに舌を這わせながら、ドレスの後ろに手を伸ばした。
「───っ!」
背中に回された腕の中でビクッと震えると、肩に軽く噛み付かれる。
津軽さんを見上げる瞳に涙がじんわりと滲む。
「──その表情、誘ってるの?」
「ぁ……ゃ…、ちが……」
見つめて来る瞳の奥が熱っぽく揺れている。
「ナツキ」
改めて名前を囁かれれば、耳朶まで赤く染まっていく。
強く抱き締められ、肩口からドレスがするりと落とされた。
「おいで」
津軽さんはベッドに私を誘いながら、もどかしそうにネクタイを解き、シャツを脱ぎ捨てる。
思いがけず逞しい体躯には、微かな傷痕が幾つも見て取れた。
ベッドの端に座ると、津軽さんは何も言わずに私の手を取り、そっと唇を寄せる。
「~~~っっ!」
指先に軽く唇が触れただけなのに、敏感に反応してしまう自分が恥ずかしくて目を伏せた。
津軽さんは両手で私の頬を包み込むと、深いキスを落とす。
それはやがて息をつく間も無いほどの激しさに変わり、お互いに舌を絡め合う。
「は……っ」
どちらのものともつかない吐息が洩れ、気付けばベッドに倒されていた。
私に身体を重ねる津軽さんの肌が熱い。
でもその熱さが心地良くて、彼の背中に腕を回した。
「……………」
小さな声で何か言われたけれど、首すじから胸へ、そして更に下へ降りて行く指先に翻弄され聞き取れない。
肌に熱を灯すような指先は、そのまま私の奥に滑り込んだ。
「ひ……ぁっ」
思わず上げてしまった声に、津軽さんはふっ、と微笑んだ…気がした。
ベッドサイドに伸びた手が、何かを取った。
(ぁ……)
おぼろ気にそれが何なのか理解し、繋がり合う事実を実感する。
奥を攻め続ける長い指が卑猥な水音を立てる。
「イイ?」
微かに掠れた声で問われれば。
小さく頷くしかない。
"それ"を付けた昂りが、水音を立て続ける秘部に沈む。
「~~~っ!」
「ぁ あっ……!」
無我夢中で探られ、求められ、その腕の中で乱れる。
貪るように突き上げられれば、自分の物とは思えない嬌声が響く。
僅かに残った理性は、強くかき抱かれて崩れてしまう。
意識が白く弾けるまで与えられる律動に、快感が全身を駆け巡る。
ただ、津軽さんの熱を身体の奥に感じていた。
(もう、何も考えられない───)
ー ー ー ー ー
抱かれている時は夢中過ぎて、余裕が無くて。
今は、その行為すらも夢を見ていたような錯覚に囚われる。
でも……凄く幸せな時間だった。
(あぁっ…… どうしよう)
(何て言って顔を合わせたら良いのか分からない!)
分からないけれど。
今、隣で目を閉じたままの寝顔がとても愛おしく見えて。
唇に小さな悪戯をした。その時。
「こーら」
「ひゃっ……!」
突然、抱きすくめる腕に力がこもった。
「何してんの」
「お……起きてたんですか……!?」
「俺が、ナツキの気配に気付かない訳ないでしょ」
「………!!!」
(そうだった!)
(ついうっかり、キスしちゃったけど!!)
恥ずかしさを隠すように、津軽さんの胸に顔を埋めた。
そっと髪を梳かれるのが気持ち良い。
「もう……しょうがないなぁ」
優しい溜息が降ってくる。
あと少ししたら起きなければならないけれど。
もうちょっとだけ、この腕の中に包まれていたい。
窓の外にはもう、オレンジの光が射し始めていた……。
fin
「───ん……」
寝返りを打とうとして、温かい腕に包まれている事に気付く。
(誰……?)
半分寝惚けた視線を上げて、そっと顔を見た。
端正な顔立ち、長い睫毛に縁取られた瞳は閉じられ、微かな息遣いが聞こえる。
(!?)
(えぇっ!? 津軽さんの腕の中!? なっ…何で!?)
軽くパニックになりかけたが、彼を起こさないように声を飲み込んだ。
(えっと……この状況は……)
昨日は確か、パーティの潜入捜査で。
その後反省会をするって、津軽さんに呼び出されて……。
(あ、思い出してきた)
寝惚けた頭が完全に冴えた。
(思い出したら……すっごく恥ずかしいんですけどっ!!)
(私……っ 津軽さんと……)
ー ー ー ー ー
『反省会実施。そのままAホテル5166号に来るように』
潜入捜査の後津軽さんからメッセージが入ったので、指定されたホテルに向かった。
潜入時に着ていたドレスを着替える暇も無く、コートを羽織ったままなので何となく落ち着かない。
ノックした扉が開き、中からパーティ時に着ていたスリーピーススーツ姿のままの津軽さんが顔を出す。
「いらっしゃい。コート掛けて、座って」
「はい」
返事はしたものの、見慣れないスリーピーススーツ姿の津軽さんにちょっと見とれてしまう。
「入らないの?」
「すみません!」
ソファに座りながら部屋の中を見回して、ふと首を傾げた。
その様子が見えたのか、津軽さんが聞いてくる。
「何?」
「あ、いえ。百瀬さんは居ないのかな…と思って」
確か、このホテルの駐車場までは一緒に帰って来たはずなのに。
先に部屋に向かったんじゃなかったのかな。
「モモは反省会参加しなくても大丈夫だから」
「そうですよね……」
改めて言われると、頭を下げざるを得ない。
項垂れた私の隣に津軽さんが座る。
「反省会、しなきゃいけない理由分かるよね?」
「はい…」
「今日は、随分と注意力散漫だったね?」
「……すみません」
着慣れないドレスだし、確かにスリットが気になってはいたけれど。
それを津軽さんに見られていたとは……。
「あの場で何かあっても、あれじゃ直ぐに対応出来ない」
「はい…」
冷静な声が駄目出しをする。
返事だけで何も弁解出来ず俯いたままでいると、次の言葉には何故か苛立ちが含まれていた。
「それに……何で、モモに腰なんか抱かれてんの?」
「あれは……っ!」
思わずばっ!と顔を上げると、津軽さんとばっちり目が合った。
整った顔の長い睫毛の瞳に見つめられ、頬が赤くなる。
「今日のモモは、紳士で恰好良かった?」
「そんな事思ってません!」
「大体、百瀬さんと組ませたのは津軽さんじゃないですか!」
「そうだっけ?」
「………」
(津軽さんに話は通じない……)
反論を諦めて息を吐いた。
でもその後、彼の口から信じられない台詞が飛び出してきた。
「本当は、俺がエスコートしたかった」
「!??」
「なんで、あそこにいるのが俺じゃないんだろうって…モモに嫉妬した」
「な……!?」
(ちょっと待って!?)
(どういう意味~~~!?)
驚きのあまり声にならず、口がぱくぱくと動くだけだ。
それでもようやく絞り出した台詞は、さっき見た潜入捜査の津軽さんの様子だった。
「津軽さんは、対象者の美人さんと楽しそうだったじゃないですか!」
「うん、楽しかったよ?」
「………」
(デスヨネ)
まともな答えを期待するのがいけない。
何を言ってもきっとのらくらと躱されるだけだろう。
すると、津軽さんはぽつりと独り言のように言葉を零した。
「それでも、ウサの隣には俺が居たかったんだ」
「……っ」
「ウサのこと、好きだから」
(はい!?)
(今、何て仰いました!?)
びっくりしすぎて一瞬動きが止まり……はっと気付いた後、じんわりと顔が熱くなって来るのが分かる。
「じ…冗談は止めましょう?」
「冗談でこんなこと言えると思う?」
「津軽さんなら……」
(私、いつから津軽さんのハニトラの対象になったんだっけ?)
津軽さんは、ソファの膝を詰めるように座り直して。
さっき零した独り言のようなものではなく、私の目を見てゆっくりと、でもはっきりと言葉を紡いだ。
「俺は… ナツキの事好きだよ」
「う…嘘…」
「嘘じゃない」
(そんな事言われたって!)
(心の準備が~~~!)
そして上目遣いに私を見つめ、決定的クリティカルヒットとなる台詞を口にした。
「だから…俺のものになってよ。……駄目?」
上目遣いに見上げる瞳に射られたように動けなくなって……顔は、さっきよりも更に赤くなるのが分かる。
(そんな顔、ずるい)
(私だって津軽さんの事好きなのに……!)
そう思ったら、自然に言葉が溢れ出た。
「わっ…私だって、津軽さんの事好… っ……」
言い終わるより先に、唇を塞がれた。
「ナツキ──」
耳元で小さく囁かれる名前と、何度も角度を変え求められる唇が甘過ぎてどうにかなってしまいそうだ。
頭の隅がジンジンと痺れてくる。
「つが…さ……」
唇を重ねる合間に零れる、吐息ごと奪われるようなキス。
慈しむように触れてくる掌。
整った顔のイメージからは遠い、男の人の武骨な指が何度も確かめるように頬に、唇に、触れる。
いつもひんやりとしているその指先は、確かな熱を持っていた。
津軽さんは、吸い付くように唇を寄せた首すじに舌を這わせながら、ドレスの後ろに手を伸ばした。
「───っ!」
背中に回された腕の中でビクッと震えると、肩に軽く噛み付かれる。
津軽さんを見上げる瞳に涙がじんわりと滲む。
「──その表情、誘ってるの?」
「ぁ……ゃ…、ちが……」
見つめて来る瞳の奥が熱っぽく揺れている。
「ナツキ」
改めて名前を囁かれれば、耳朶まで赤く染まっていく。
強く抱き締められ、肩口からドレスがするりと落とされた。
「おいで」
津軽さんはベッドに私を誘いながら、もどかしそうにネクタイを解き、シャツを脱ぎ捨てる。
思いがけず逞しい体躯には、微かな傷痕が幾つも見て取れた。
ベッドの端に座ると、津軽さんは何も言わずに私の手を取り、そっと唇を寄せる。
「~~~っっ!」
指先に軽く唇が触れただけなのに、敏感に反応してしまう自分が恥ずかしくて目を伏せた。
津軽さんは両手で私の頬を包み込むと、深いキスを落とす。
それはやがて息をつく間も無いほどの激しさに変わり、お互いに舌を絡め合う。
「は……っ」
どちらのものともつかない吐息が洩れ、気付けばベッドに倒されていた。
私に身体を重ねる津軽さんの肌が熱い。
でもその熱さが心地良くて、彼の背中に腕を回した。
「……………」
小さな声で何か言われたけれど、首すじから胸へ、そして更に下へ降りて行く指先に翻弄され聞き取れない。
肌に熱を灯すような指先は、そのまま私の奥に滑り込んだ。
「ひ……ぁっ」
思わず上げてしまった声に、津軽さんはふっ、と微笑んだ…気がした。
ベッドサイドに伸びた手が、何かを取った。
(ぁ……)
おぼろ気にそれが何なのか理解し、繋がり合う事実を実感する。
奥を攻め続ける長い指が卑猥な水音を立てる。
「イイ?」
微かに掠れた声で問われれば。
小さく頷くしかない。
"それ"を付けた昂りが、水音を立て続ける秘部に沈む。
「~~~っ!」
「ぁ あっ……!」
無我夢中で探られ、求められ、その腕の中で乱れる。
貪るように突き上げられれば、自分の物とは思えない嬌声が響く。
僅かに残った理性は、強くかき抱かれて崩れてしまう。
意識が白く弾けるまで与えられる律動に、快感が全身を駆け巡る。
ただ、津軽さんの熱を身体の奥に感じていた。
(もう、何も考えられない───)
ー ー ー ー ー
抱かれている時は夢中過ぎて、余裕が無くて。
今は、その行為すらも夢を見ていたような錯覚に囚われる。
でも……凄く幸せな時間だった。
(あぁっ…… どうしよう)
(何て言って顔を合わせたら良いのか分からない!)
分からないけれど。
今、隣で目を閉じたままの寝顔がとても愛おしく見えて。
唇に小さな悪戯をした。その時。
「こーら」
「ひゃっ……!」
突然、抱きすくめる腕に力がこもった。
「何してんの」
「お……起きてたんですか……!?」
「俺が、ナツキの気配に気付かない訳ないでしょ」
「………!!!」
(そうだった!)
(ついうっかり、キスしちゃったけど!!)
恥ずかしさを隠すように、津軽さんの胸に顔を埋めた。
そっと髪を梳かれるのが気持ち良い。
「もう……しょうがないなぁ」
優しい溜息が降ってくる。
あと少ししたら起きなければならないけれど。
もうちょっとだけ、この腕の中に包まれていたい。
窓の外にはもう、オレンジの光が射し始めていた……。
fin