第二章「正反対」
あなたの名前はなんですか?(夢小説機能)
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「俺は、むしろ喧嘩した方がいい関係を築けると思う」
人は分かり合えないけど、分かり合おうすることはできる。
分かり合おうと互いに頑張った末に喧嘩になるのなら、それは仕方のないことだと思う。
大切なことは、相手に自分を知ってもらうことと、自分も相手を知ろうとすること。
お互いに意見を主張したほうが、完全に分かりあったわけではないけど、分かりあった気分になれる。
分かり合おうとしないよりも、ずっと分かりあっているという状況に近くなる。
でも自分を押し殺していると、自分だけが相手のことを知って、相手は自分を知ることができない。
その結果、相手は自分を何を考えてるか分からないと言って、意味が分からないと離れていく。
だから、自分を殺すということは、分かり合おうとすることへの拒絶だと思う。
「そもそも、俺は本当の意味で人と仲良くなろうと思わない。
俺が同調するだけで相手は俺の事を分かっていると錯覚して、俺も何も言わないから喧嘩にならない。
喧嘩になるかならないかが一番の問題で、喧嘩した結果は関係ない」
「……ねえ、俺達友達になってみない?」
はあ?兵助の若干怒気のこもったような声が教室に響いた。
急になにを言い出すんだと言いたげな瞳は俺を睨んでいる。
「互いに本音でいってみようよ。兵助も、また爆発しそうになったら俺に愚痴を言えばいい。
いざってときに限界が来たら、お前だって困るだろ?」
だって面白いじゃんか。
人は分かり合えないって前提は一緒なのに、俺達の意見は真反対なんて。
人間同類だけで集まったって、共感だけでなんの進化もないんだ。
だったら俺は、真反対の人間を知ってみたい。知ってどうなるか、挑戦してみたい。
だから俺と友達になってみてほしいんだ。
そうして俺は、半ば無理やりの形で兵助と共に下校をした。