第二章「正反対」
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どうやらもう一人の日直の奴に用事があるから……と任せられ、挙句その用事が嘘であることを知ったらしい。
それ以外にも相当不満ごとを溜め込んでいたらしく、兵助の口からはどんどん愚痴が出てくる。
そして、本来なら俺が注意するべき授業中の過度な私語にも苦言は及び、俺は気付けば謝っていた。
「ごめんな。注意とか学級委員の仕事なのに」
「いや、まあ……うん。そもそも注意しなきゃいけない状況なのがおかしいよ。
言っても直らないからなぁって気持ちは分かるし、学級委員は先生と生徒の板挟みになりかねないからな」
真面目に授業受けてる兵助としては、気に食わないだろうに。
どうやらこちらに理解を示してくれているみたいだ。
「兵助。お前、人に気を遣いすぎじゃない? 俺は正直に言ってくれていいよ。
その方がお互いにいい交友関係を築けるだろ?」
兵助は口を開いては閉じを何度か繰り返し、しばらくして意を決したように声を出した。
「確かに、久々に正直なこと言ってスッキリした。それはありがとう。
……でも俺、面倒ごとは嫌いなんだ。だから誰かの反感を買うような行動はしない。
喧嘩や口論が起こるくらいなら誰かが我慢した方がいいだろ?」
「俺はそう思わない。むしろ、我慢するくらいなら喧嘩した方がいい」
「喧嘩なんかしたって、誰も救われないよ。人は分かり合えないっていうけど、改めて実感した」
兵助は争いを恐れていて、それを起こさぬために自分が我慢している。
人は分かり合えない。
そこまでは俺と一緒なのに、どうしてここまで違うんだろう。
それこそ、分かり合えない溝ってやつなのかもしれない。