最終章「芽生え」
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〝最近、百恵の人気すごいよな。誰かに取られる前に告白しておけよ?(笑)
あと、俺の気持ちはもう伝えたから、遠慮すんなよ〟
昨日の夜、送られてきたメールの文章が頭から離れない。
「百恵、今日は弁当持ってきたー?」
「さすがに持ってきたわ。こら、馬鹿にしない!」
……いや、二人とも。
告白したにしてもされたにしても、なんか全然変わらなすぎてびっくりなんだけど……。
〝……分かった。今日、放課後に、告白する〟
そう返した昨日の俺の勇気を恨みながら、俺は悶々として過ごした。
* * *
「なんでそんなにかしこまってるの?」
「……え」
……俺、そんなに緊張した顔してるのか。
まあ、そりゃあそうだよな。
今から告白するのに、涼しい顔なんて出来るわけない。
放課後の教室。外は夕焼けに紅葉が合わさって、赤に染まっている。
音は運動部の声とたまに通るカラスの鳴き声と、あとは、俺の鼓動だけだった。
「そういえばさー、久々知の好きな人って誰なの?」
「……え」
ごめん、わざとじゃないんだけど……聞いちゃってさ。
何をと問うまでもなく、昨日の告白のことだと勘づいて、俺は息がつまる。
「……萩窪」
「え」
「俺の好きな人、萩窪だよ。
……一目惚れっていうのかな。最初会ったときからずっと好きだったんだ」
そう言うと、萩窪は目に見えて動揺した。
「最初からって」
「入学式じゃない。もっと前……剣道で、対面したときから、ずっとだ。
今日ここに呼び出したのだって、告白するつもりだったんだよ」
つかの間の沈黙、破ったのは萩窪だった。
「兵助」
なんで下の名前で……と思いつつ、なんとなく反抗して俺も百恵と呼んでみる。
すると、百恵は笑って、こう言った。
「私も好き」
最初からじゃないし、気付いたのも昨日のことなんだけど。
そう言葉を続ける百恵に、俺は何も考えずに百恵を抱きしめた。
完.
あと、俺の気持ちはもう伝えたから、遠慮すんなよ〟
昨日の夜、送られてきたメールの文章が頭から離れない。
「百恵、今日は弁当持ってきたー?」
「さすがに持ってきたわ。こら、馬鹿にしない!」
……いや、二人とも。
告白したにしてもされたにしても、なんか全然変わらなすぎてびっくりなんだけど……。
〝……分かった。今日、放課後に、告白する〟
そう返した昨日の俺の勇気を恨みながら、俺は悶々として過ごした。
* * *
「なんでそんなにかしこまってるの?」
「……え」
……俺、そんなに緊張した顔してるのか。
まあ、そりゃあそうだよな。
今から告白するのに、涼しい顔なんて出来るわけない。
放課後の教室。外は夕焼けに紅葉が合わさって、赤に染まっている。
音は運動部の声とたまに通るカラスの鳴き声と、あとは、俺の鼓動だけだった。
「そういえばさー、久々知の好きな人って誰なの?」
「……え」
ごめん、わざとじゃないんだけど……聞いちゃってさ。
何をと問うまでもなく、昨日の告白のことだと勘づいて、俺は息がつまる。
「……萩窪」
「え」
「俺の好きな人、萩窪だよ。
……一目惚れっていうのかな。最初会ったときからずっと好きだったんだ」
そう言うと、萩窪は目に見えて動揺した。
「最初からって」
「入学式じゃない。もっと前……剣道で、対面したときから、ずっとだ。
今日ここに呼び出したのだって、告白するつもりだったんだよ」
つかの間の沈黙、破ったのは萩窪だった。
「兵助」
なんで下の名前で……と思いつつ、なんとなく反抗して俺も百恵と呼んでみる。
すると、百恵は笑って、こう言った。
「私も好き」
最初からじゃないし、気付いたのも昨日のことなんだけど。
そう言葉を続ける百恵に、俺は何も考えずに百恵を抱きしめた。
完.