第五章「生長」
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「……よく考えたら、分かることだったのにね。
両親がこんな仲だったら、子どもは嫌に決まっているわ」
母さんはか細い声でごめんね、と呟いたかと思えば、次の瞬間には前を見据えていた。
「……よし、決めた。私、お父さんと仲直りしてみせるわ。
せっかく兵助が勇気を出して言い出してくれたんだもの。ここで諦めたら母が廃るわ!」
……あれ、母さんってこういう人だったっけ?
空元気なのか、それとも俺が母さんのことを知らなすぎたのかよく分からないけれど、
母さんは案外明るい人だったみたいだ。
二人が元に戻ってくれるチャンスが少しでも増えたのならば、それは喜ばしいことだと思う。
「ところで兵助……あの子、彼女じゃないでしょ?」
「えっ!?」
な、なんで分かったの。
そう言うと母さんはふふん、と自慢げに女の勘よ、と応えた。
「ついでに、兵助の片想いね」
「ちょっ……も、もうやめてよ、母さん」
母さんは今までに見たことのないくらいの笑顔で笑って、つられて俺も一緒に笑う。
心が、晴れていくような感じがする。
「頑張ろうね、母さん」
「そうね、兵助」
俺と母さんなら、きっと大丈夫。
なぜだかそんな根拠の無い勇気と自信が込み上げてくる。
それは母さんも一緒だったみたいで、俺と母さんは強く握手を交わした。