第一章「日常」
あなたの名前はなんですか?(夢小説機能)
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
差し出された傘を手に取って、百恵は言った。
「やっぱり尾浜はヒーローみたいだなあ」
百恵が俺をヒーローに例えるのは、二回目だった。
俺はヒーローが好きで、百恵は王子さまが好きだって。
じゃあ、おれ王子さまになる!なんて宣言をしたのは小学生のときだった。
……ってことは、俺の勘は的中か。
だって、あのときと同じセリフを言うってことは、多分百恵は落ち込んでいたんだと思うから。
あのときも確か雨だった。なんか嫌な予感がすると思ったんだ。
愛の力、なんて冗談めいて言ってるけど、マジに思えてくる。
……それはさておき。
「王子さまじゃなくて?」
「なんで嫌そうなの? 尾浜、ヒーローの方が好きじゃん」
「でも百恵は王子さまの方が好きだろ?」
百恵が好きだって言うなら、俺はそれになるしかない。
だから俺はヒーローじゃなくて、王子さまになりたいんだけど……。
様子を見るに百恵にそれは伝わってないらしい。
……ああ、ほんと、百恵が悪いとは言わないけど、上手くいかない恋をしてる。
王子さまになるってのは、元は告白のつもりだったんだ。
その瞬間の百恵のぽかんとした顔に耐えられなくて俺が茶化したわけだけど、
それからというものどれだけアピールしてもなんかあしらわれる。
多分本気だと思われてない。っていうか、この間何考えてるか分からないとすら言われた。
……これじゃ、前と同じだ。仲良くなる前の、意地悪と呼ばれていた幼稚園の俺と。
王子さまと神様が与えてくれたチャンスを俺は無駄にしている気がする。
「やっぱり尾浜はヒーローみたいだなあ」
百恵が俺をヒーローに例えるのは、二回目だった。
俺はヒーローが好きで、百恵は王子さまが好きだって。
じゃあ、おれ王子さまになる!なんて宣言をしたのは小学生のときだった。
……ってことは、俺の勘は的中か。
だって、あのときと同じセリフを言うってことは、多分百恵は落ち込んでいたんだと思うから。
あのときも確か雨だった。なんか嫌な予感がすると思ったんだ。
愛の力、なんて冗談めいて言ってるけど、マジに思えてくる。
……それはさておき。
「王子さまじゃなくて?」
「なんで嫌そうなの? 尾浜、ヒーローの方が好きじゃん」
「でも百恵は王子さまの方が好きだろ?」
百恵が好きだって言うなら、俺はそれになるしかない。
だから俺はヒーローじゃなくて、王子さまになりたいんだけど……。
様子を見るに百恵にそれは伝わってないらしい。
……ああ、ほんと、百恵が悪いとは言わないけど、上手くいかない恋をしてる。
王子さまになるってのは、元は告白のつもりだったんだ。
その瞬間の百恵のぽかんとした顔に耐えられなくて俺が茶化したわけだけど、
それからというものどれだけアピールしてもなんかあしらわれる。
多分本気だと思われてない。っていうか、この間何考えてるか分からないとすら言われた。
……これじゃ、前と同じだ。仲良くなる前の、意地悪と呼ばれていた幼稚園の俺と。
王子さまと神様が与えてくれたチャンスを俺は無駄にしている気がする。