第五章「生長」
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「俺は百恵の努力するところを好きになったはずなのに、それがなくなっても、なぜか好きであり続けていた。
これは――恋じゃなくて、一種の“執着”なんじゃないかって、ずっと自信が持てないままんだ」
「……これは、あくまでも持論だけど。
それは小さなきっかけにすぎないんだと思う。
それで興味を持って、知らないうちに好きになったんだろ。それは、立派な恋だよ」
俺の言葉に目を見開いたと思えば、勘右衛門は目を細めて笑った。
……なんだよ、結構恥ずかしいこと言ったのに笑うなよな。
「お前、言うようになったな」
「……完全に勘右衛門たちの影響だろ……」
俺には関係ない世界だと思っていたが、この場所は、案外心地がいい。
だから、これでも感謝しているんだ。
「それで、話を戻すけど。
……なんで萩窪と恋人のフリしなきゃいけないんだよ」
「お前は……そうじゃない、って言うかもしれないけどさ……
俺には、お前は両親に人間だと思われてないように見えるよ。
――だから、逆に利用してやるんだ」
兵助だって普通の男子高校生なんだって、思わせるんだよ。
「でもさ……本当にいいのか?」
「……いいって言ってるだろー? 疑り深いやつだな、兵助は!」
よくないのは俺の方なのかもしれない。
そりゃ、萩窪と……その、フリでも恋人になれるわけだし、それはいいんだけど。
こう、なんか……譲られてるみたいで、すごく嫌だ。
第一、俺に伝えることが大切だって言ったくせに、勘右衛門がそれを守らないのっておかしくないか?
「勘右衛門……諦めるなよ」
「なんだそれ、宣戦布告か?」
そのつもりだ、と笑ってみせると勘右衛門は瞠目してから、本当変わったなぁ、と呟いた。