第五章「生長」
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“互いに本音でいってみようよ。兵助も、また爆発しそうになったら俺に愚痴を言えばいい。
いざってときに限界が来たら、お前だって困るだろ?”
考えなしに放った言葉だったけど、兵助は覚えてくれていたらしい。
「それで、どうしたんだ。兵助」
「ああ、少し聞いて欲しいことがあってさ……」
* * *
「ってことがあって……勘右衛門も家、厳しいんだろ?
お前もなんか愚痴があるんじゃないか?」
……ん? 俺の家が、厳しい?
あー……もしかして、百恵から聞いたのか?
「百恵から聞いたんだろうけど、それ嘘なんだ」
「えっ!? ……これまた、どうしてそんな嘘を」
確かに俺の家が金持ちなのは本当なんだけど、厳しいというのは真っ赤な嘘である。
むしろ俺に対して両親は激甘で、わがまま放題言っても許されるような感じだ。
「今となっては恥ずかしい話なんだけど……俺が百恵のこと好きなのは知ってるよな?」
「えっ……なんとなくそうだろうとは思ってたけど。まさか本当にそうだとは……」
……鈍そうな兵助に勘づかれるほど俺の態度ってわかりやすいのに、百恵って相当な鈍感なんだな……。
まあ、それはいいとして。
「俺は百恵の王子様になりたかったんだよ。それで、王子様といえば身分差の恋ってやつだろ。
……安直な俺は、それに則って厳しい家の子だと百恵に嘘をついたんだ」
俺に甘い両親は完全に俺の事情を理解していて、
百恵のいる場ではその設定を忠実に守ってくれている。
「……で、こんな話をした後にやりずらいとは思うんだけどさ……」