第五章「生長」
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目覚ましを止めて、即座に部屋から出る。
ひとまず洗顔してから、適当な大きなお茶碗を出してコンフレークを注ぐ。
牛乳にバナナを入れて完成だ。
「……あれ」
既に仕事に出かけたはずの母さんの部屋の電気が、ついている。
丁度食事も終わったところだしな、と席を立って部屋に入る。
……珍しい、消し忘れたのかな。
リモコンを探し回っていると、いつもより部屋が荒れていることに気がついた。
母さんは几帳面だから、もっと部屋は綺麗だったはずなんだけど。
「……これは、アルバム?」
開きっぱなしの引き出しのそばに広げられていたのは、多数のアルバムだ。
アルバムの中には、まだ若いままの母さんと父さんの写真が入っていた。
……母さん、ずっとこれを見ていたのかな。
だとしたら部屋の荒れた痕跡もあるし、出勤間際まで見ていたんだろう。
水族館に動物園に海に……。
今では想像出来ないくらいに仲のいい二人に、どろりと不安な気持ちが垂れる。
二人の仲が悪くなった原因って……俺、なのかな……。
写真はどれも二人のものばかりで、俺と一緒に写っている写真なんてほとんどなかった。
二人の喧嘩の内容といえば、いわゆる教育方針の違いというやつばかりだったと思う。
でもどちらにせよ、良い結果を出せばどちらも喜んでくれて、その瞬間だけは俺らはきちんとした家族だったんだ。
……すっかり、俺が家族を繋ぎ止めていると思い込んでいた。
でも、現実はそうではなくて、むしろ俺が家族を壊してたんだ。
その時、ふと勘右衛門の声を思い出した。
“互いに本音でいってみようよ。兵助も、また爆発しそうになったら俺に愚痴を言えばいい。
いざってときに限界が来たら、お前だって困るだろ?”
……愚痴じゃないけど、きっとあいつは聞いてくれるだろう。