第一章「日常」
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補習が終わり、階段を下っていく。
私がこの高校に推薦で受かったのは奇跡だ。
高校に行けば王子さまに出会えるのかもしれない、なんて思って近くの共学を適当に選んだだけだった。
私のお母さんとお父さんは無理せずに私立でもいいよ、と言ってくれた。
でも近くにある私立はみんな女子高で、一番近くの共学でも行き帰りだけで何時間もかかってしまうようなところで、
共学かつなるべく近場がよかった私にはこの高校しかなかったんだ。
でも……私、これでほんとにいいのかな。
だって、王子さまに未だに会えないなら、この高校に入った意味がないよ。
昇降口にやって来て下駄箱に上履きをしまい、靴を取り出して外に目を向けたところで、やっと気付いた。
「……あ、」
雨だ。それも勢いのある。
まるで今まで聴力を失っていたみたいに唐突に音が聞こえだして、私は耳を塞いだ。
……こんな音に気付かないほど、自分が思い悩んでいたなんて思わなかったな。
首を振って、頬を叩く。
しっかりしよう。思い詰めた顔してたら王子さまもガッカリだよ。
靴を履いて、少しだけある屋根の下で立ち止まる。
……傘はないけど、これでも運動神経だけはいいんだ。走っていけば、少なくとも歩いていくよりかは濡れない。多分。
でも突然走り出すのは危ないから、ちゃんと準備運動をしよう。
そうして屈伸をはじめようとしたとき、声をかけてきたのはここにいるはずのない幼なじみの声だった。
私がこの高校に推薦で受かったのは奇跡だ。
高校に行けば王子さまに出会えるのかもしれない、なんて思って近くの共学を適当に選んだだけだった。
私のお母さんとお父さんは無理せずに私立でもいいよ、と言ってくれた。
でも近くにある私立はみんな女子高で、一番近くの共学でも行き帰りだけで何時間もかかってしまうようなところで、
共学かつなるべく近場がよかった私にはこの高校しかなかったんだ。
でも……私、これでほんとにいいのかな。
だって、王子さまに未だに会えないなら、この高校に入った意味がないよ。
昇降口にやって来て下駄箱に上履きをしまい、靴を取り出して外に目を向けたところで、やっと気付いた。
「……あ、」
雨だ。それも勢いのある。
まるで今まで聴力を失っていたみたいに唐突に音が聞こえだして、私は耳を塞いだ。
……こんな音に気付かないほど、自分が思い悩んでいたなんて思わなかったな。
首を振って、頬を叩く。
しっかりしよう。思い詰めた顔してたら王子さまもガッカリだよ。
靴を履いて、少しだけある屋根の下で立ち止まる。
……傘はないけど、これでも運動神経だけはいいんだ。走っていけば、少なくとも歩いていくよりかは濡れない。多分。
でも突然走り出すのは危ないから、ちゃんと準備運動をしよう。
そうして屈伸をはじめようとしたとき、声をかけてきたのはここにいるはずのない幼なじみの声だった。