第四章「回帰」
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リュックの中を粗方漁っていると思えば、ため息をついて固まってしまった萩窪の横を通りかかって、
まさかと思いつつも声をかける。
「もしかして、弁当忘れたのか」
「……うん、やっちゃった。久々知は今から購買?
よかったら一緒にいかない?」
萩窪とは色々噂になっているのを聞いてるから、あまり一緒に行動するのはなあ、と思ったけど、
俺から声をかけたのに断ることもできず、俺は了承して財布を準備をする萩窪を待つことにした。
……萩窪、噂とか気にしないタイプなんだろうか。
俺だけ気にしてるみたいでなんか恥ずかしいな……。
そんなことを考えながら階段を下り、購買へ向かう最中。
「あ、萩窪!」
「先生。どうかしましたか?」
これ、さっきお前の母さんが渡しておいてくれって職員室に来たんだ。
母さんが親切でよかったな……じゃあ俺は職員室に戻るから。
担任の先生から萩窪の元へ手渡されたのは、白いコスモスの描かれた可愛らしい弁当袋だった。
「本当に、親切な母さんだな」
わざわざ、届けてくれるなんて。
「ふふ……そうなんだ。自慢のお母さんだよ」
……そうか。上手く笑えなくて、思わず顔を背ける。
「じゃあ、俺……購買行ってくるから」
努力しなければ、欲しいものは手に入らない。
運動に勉強に習い事、出来るものなら全てやって来た。
娯楽よりも実績だった。
実力さえあれば、俺の両親は繋がってくれていた。
俺を褒めるときだけは、あの険悪さが嘘のように思えて。
そんなこんなで作業と化した俺の努力を変えた彼女は、どうしてこんなにも変わってしまったんだろうか。
そのくせ、俺の欲しいものは易々と手に入れる。
モヤモヤした感情を抱えながら、買いたい菓子があるらしい彼女と共に購買へ向かった。