第三章「小さな歪み」
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「……お、おまたせ」
そう言いながら教室に入ってきたのは久々知だった。
ああなるまで久々知をあまり視界に入れないようにしていた私はまったく知らなかったけど、
彼は弁当ではなく毎日豆腐のお供に購買で何かしら買って食べているらしい。
「……すごい汗だね。ハンカチある?」
「ない……え、貸してくれるのか? ありがとう。洗って返すよ」
そう言いながら久々知は兎の刺繍入りのファンシーなハンカチで汗をふき取った。
……なんか、うん。イケメンって凄いな。
どんなハンカチ持ってても許される感じあるよね。
「……それにしても、みんな弁当なんだね。自分で作ってるのか?」
「いや、母さんに作って貰ってる」
南の声に俺も、私も、と続ける中、尾浜は自炊だと言う。
尾浜は言わばリアルパーフェクトヒューマンだ。
ダンスみたいな運動が得意だと思えば勉強もそれなりにこなすし、顔だって整っている方だ。
まあ、その裏には努力というものがあるから、憎みきれないアレがあるんだけども。
「良かったな萩窪。料理出来なくても尾浜がなんとかしてくれるぞ!」
「カレー作ろうとしてダークマターになって以来、
台所に立つの禁止されてるから本当に助かる! ありがとう!」
いや、喜ぶなよ。百恵と俺からかわれてんだぞ、と苦言を零す尾浜。
だって本当に尾浜の料理の方が絶対美味しいもん。食べたことないけどダークマターよりマシなことは明白だ。
「カレーでダークマターって……何したらそうなるんだ」
ため息をついた久々知に、私は言い訳をする。
いや、レシピ通りやったと思ったんだけどね。
なんか…………うん。だめだったんだよとにかく。
強いていえば火加減について怒られた気がするけど、台所に立つのを禁止されたので改善する余地もなかったよね。