第三章「小さな歪み」
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「じゃあ次、百恵の自己紹介ね」
尾浜に促され、私は返事をして自己紹介をし始める。
「私は萩窪百恵。趣味は運動全般。あとゲームとかもやるよ」
「運動全般か、じゃあ剣道もやってたりするの?」
「うん、それなりにね。最近はやってないけど……」
……それなりに、なんて嘘だ。
毎日強くなろう。あの少年に勝とうと頑張っていた。
何度も何度も全国大会に出場して何度も同じ相手に負けて、最後には心折れて放り投げてしまったんだ。
それなり、なんて言葉で済むものじゃない。
あれは紛れもなく本気だった。
全力でやって負けたんだったならしょうがないって皆言っていたし、それに甘んじたのは私だけど。
本気でやってればいつか報われると信じてた。そんな夢を見ていたんだって、そこで気がついた。
私は二度寝をするように再び目を閉じたけど。
……あのショックはきっと、忘れることはできないんだ。
「萩窪も萩窪で、もったいないよなー。
女子の中でも抜きん出てるって先生も誉めてたのに、部活は無所属なんてさ」
「んー、趣味とか言っといてなんだけど、特に一番好きなスポーツがないから。
助っ人とかたまにひょこって顔出すぐらいが丁度良いんだよね」
女バスのユニフォームとかいいよな。
阿佐ヶ谷、それ露出目当てだろ。
あ、バレた?
どっちかというとバレーの方が足の露出度すごいよ。二人とも、今度見てみ。
阿佐ヶ谷と尾浜と私によって繰り広げられる猥談に限りなく近いディープな話題に、南と久々知くんは引き気味だ。
しかし途中で久々知くんが、何か思いついたように私を見るので、聞いてみる。
「今からでもいいから、見学に来ない? ……無理そうなら、その、いいんだけど……」
「おいおい、そこで逃げ腰になるなよ」
「ええっ……だって萩窪さんにも萩窪さんの都合があるだろう」
まだまだ直りそうにないなぁ……。
そんなことを思いながら、私はまたいつかね、と返した。