第二章「正反対」
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「兵助、悪かった!」
「ごめん! 兵助」
放課後の空き教室。赤く染った空と電線に止まる烏が窓から見える、そんな時間。
南と阿佐ヶ谷が久々知くんに向かって、思い切り頭を下げた。
「顔上げて。二人は悪くないよ、むしろ俺の方こそ怒鳴って悪かった」
眉を下げて笑う久々知くんは、どうやらいつも通りの様子らしい。
……でも二人は二人であの絡み方はうざかったし、久々知くんが怒るのも無理はないと思うんだけどな。
そう思っていると、いつの間にか久々知くんの視線は私に移っていた。
「……ええっと、萩窪さんもごめんね。というか、ありがとう」
なんの事だ、と思ったのも束の間で、その感謝の意味をすぐに理解する。
あぁ、久々知くんが怒鳴ろうとしたときに私が遮って尾浜に絡んだあの時のことか。
久々知くんは失言した、みたいに自分で口を塞いでいたからその意図には気付いていないと思っていたんだけどな。
……というか、改めて感謝されるとなんか照れるというか。
悪い気はしないけども、慣れないことはするものじゃないな、と思う。
「気にしないで。尾浜がやらかしたことだし、放っておけなかったんだよ」
その名前を出すと、久々知くんの顔が歪んだ。そして、教室全体に緊張が走る。
……尾浜本当何したの。普段からああやってうざ絡みしてるから?
いや、それにしては嫌がられすぎな気もする。
でも私は慣れているから最早苦では無くなっているのかもしれないし、やっぱり本人に聞かない限り分からなそうだ。
ちなみに、当人は今日はダンス教室の日で、私に事情を言い渡すと颯爽と帰って行った。
「……その、尾浜のことなんだけど」
久々知くんの口は、重そうに開かれた。