恋、其れ即ち
あなたの名前はなんですか?(夢小説機能)
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「あの、それ、雷蔵先輩の血ですか」
何とか言葉を発すると、雷蔵先輩は目を伏せてふるふると首を振った。
ーー良かった。
そのとき、なぜか三郎先輩の〝残酷だな〟という声が聞こえた気がした。
思ったことを率直に口にして、雷蔵先輩の懐に飛び込む。
わあ、と感嘆の声が聞こえたものの、雷蔵先輩は倒れることなく私を支えてくれた。
血の匂いは薄れて、雷蔵先輩の暖かみが直に伝わってくる。
暫くして、雷蔵先輩が私の頭を胸元に押さえつけるように撫でて言った。
まるで私に顔を見て欲しくないみたいだ。
「……いけないよ」
一度言葉を区切って、雷蔵先輩はまた息を吸い込んだ。
「簡単に人に抱きついちゃいけないよ」
負けじと私は言い返す。
「……他のひとには抱きつきませんから」
さらに抱きつく力を強めて、胸元に耳を寄せてみる。
当然でありながら尊い音でもある雷蔵先輩のそれは、異常なほど早かった。
「…………ねえ、紗十子ちゃん。
勘違いしてもいいなら、言わせてほしいことがある」
「……はい。なんですか」
「君のことが、好きだ」