恋、其れ即ち
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空は相変わらず遠くにあり、摩訶不思議に雲は動いてる。
きらきらと光を放つ星は、一体何の意味を持つんだろう。
人は様々な疑問を持って空を見上げるけど、
どの人もいずれは気付けば何も考えず空に吸い込まれてしまうのだ。
……雷蔵先輩、帰ってこないかなあ。
なんて期待しながら私は夜空の下、校門を背に座っていた。
そんな中、コンコンコン、と扉を叩く音がした。
「五年ろ組の不破雷蔵です」
聞こえた声は確かに雷蔵先輩のものだった。
だけども、その声音はどこか暗いものを纏っていた。
「雷蔵先輩……?」
「…………紗十子ちゃん」
女子がこんな夜中に外に出ていちゃ危ないよ。
「……もしかしたら、雷蔵先輩が帰ってくるかもしれないと思って……。
それに、少し眠れそうになかったので」
「それは……僕のせいってこと?」
あ……いや、そういうことに、なるのか。今のは。
ごめんなさい、そう呟く前に雷蔵先輩がそれを遮った。
「僕のこと、待っててくれたんだ」
その言葉に唾を飲み込んだ。
……そうですけど、なんか、言葉にすると照れくさいものがある。
そんな私に追い打ちをかけるように、雷蔵先輩は嬉しいなあ、と続けた。
「こ、このままではなんですから。私が開けますよ」
「……え、」
待って。
そう制止する言葉も聞けず、私は扉を開ける。
「ゴホッ…………んん゛っ……」
香る鉄の匂いと、先輩の服に染み付いている赤が重なってむせ返る。