そのいち
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【追いかける/山田利吉】
あれはまだ三年生の頃だった。
たまたま学園に訪れた利吉さんに初恋を奪われた私は、ある日利吉さんに想いを伝えた。
『私、利吉さんのこと好きなんです』
返事が残念なことになるのは分かり切っていた。
子供ながらに素敵な人の隣に行くためには、
自分が素敵な人にならなきゃいけないことを知っていた。
君が大人になったらね、なんて常套句を言われる前に私は言ったんだ。
『だから私は、利吉さんに見合うような素敵なくノ一になります。
……利吉さんのことを全力で追いかけて、いつかは抜かして私に惚れさせてやるんです』
だから覚悟しておいて下さい。
言い終えると、利吉さんの顔が面白いことになっていて、私は思わず笑っていた。
……あれから何年の時が経ったんだろうか。
いまだ利吉さんにとって私は見合わないようで、
いつになったら利吉さんは認めてくれるのかと問い詰めるため、私は毎年一回は彼の目の前に現れている。
「……いつまで君は私を追っかける気だい?」
「そんなのいつまでもに決まっているでしょう。
利吉さんは、私のことをいつになったら認めてくれるのですか」
はぁ、とため息をついて俯いた利吉さんの真意はやはり読めなくて、
私はまだまだなのだと実感させられた。
「では、また来年」
これはまた、色々と鍛えなきゃな。
私にとって利吉さんのことを追いかけることは、もはや生きがいだ。
だから、まだ追いかけさせてくださいね。
「……とっくに認めていると言っても、君は私に飽きたりしないだろうか」
またまた深いため息の先の独り言を、私は知る由もなかった。
あれはまだ三年生の頃だった。
たまたま学園に訪れた利吉さんに初恋を奪われた私は、ある日利吉さんに想いを伝えた。
『私、利吉さんのこと好きなんです』
返事が残念なことになるのは分かり切っていた。
子供ながらに素敵な人の隣に行くためには、
自分が素敵な人にならなきゃいけないことを知っていた。
君が大人になったらね、なんて常套句を言われる前に私は言ったんだ。
『だから私は、利吉さんに見合うような素敵なくノ一になります。
……利吉さんのことを全力で追いかけて、いつかは抜かして私に惚れさせてやるんです』
だから覚悟しておいて下さい。
言い終えると、利吉さんの顔が面白いことになっていて、私は思わず笑っていた。
……あれから何年の時が経ったんだろうか。
いまだ利吉さんにとって私は見合わないようで、
いつになったら利吉さんは認めてくれるのかと問い詰めるため、私は毎年一回は彼の目の前に現れている。
「……いつまで君は私を追っかける気だい?」
「そんなのいつまでもに決まっているでしょう。
利吉さんは、私のことをいつになったら認めてくれるのですか」
はぁ、とため息をついて俯いた利吉さんの真意はやはり読めなくて、
私はまだまだなのだと実感させられた。
「では、また来年」
これはまた、色々と鍛えなきゃな。
私にとって利吉さんのことを追いかけることは、もはや生きがいだ。
だから、まだ追いかけさせてくださいね。
「……とっくに認めていると言っても、君は私に飽きたりしないだろうか」
またまた深いため息の先の独り言を、私は知る由もなかった。