私は不安げに新しい父の後ろに隠れる妹を見て、私は安心させるように笑いかけた。


それから……私が彼女を溺愛するようになるまで、そう時間はかからなかった。

私達はまるで本当の姉妹のように、お互いを励まして、互いの悩みを解決していたんだ。


私が妹のことをひなちゃんと呼ぶ理由も、そのうちの一つで。
それは彼女が持つ名前へのコンプレックスを解決するためだった。



……ひなちゃんの本名は、千代。

当時小学校低学年だったひなちゃんは、学校で名前が古風すぎると度が過ぎるようないじりをされていた。



近所の公園で、男子二人がひなちゃんをそれでいじっているときに私が突入したところ、
好きな子ほどああしたい性分が原因だったことが発覚したので、一旦事件は解決した。


……それでも、相当なトラウマになっているらしい彼女に、私はあだ名をつけることにした。


彼女の笑顔はまるで太陽みたいに暖かくて、私の心の支えになっていた。
そのことから、私はひなたこと、ひなちゃんと彼女にはあだ名を付けたんだ――。


脳裏に、ひなちゃんの笑顔が浮かぶ。

……あの笑い方。

天女様の笑い方と、ひなちゃんの笑い方は思えばそっくりで。


“……本当に、そっくり…………”

“実は、姉さんと私は血が繋がりなんてなくて、
両親の再婚をきっかけに出来た姉妹なの“


ああ、天女様の正体は……。
私の妹である、ひなちゃんなんだ。