自分の体の異常さは、自分が一番分かってる。


ブラックホールという不可思議な存在に取り込まれても、私は死なない。

この世界で、私が死ぬことはない。


「きみの不死には抜け道がある。
その抜け道は、人間には最も容易くて、きみには最も困難なことだ」


……遠回しにお前人間じゃねえ! って言われてる気がしてならないんだけど、私はれっきとした人間だ。


…………その抜け道がなんなのか、全く検討もつかないけど、私は人間だ。


「三郎……分かる?」
「……分からないな」



付喪神は私に笑いかける。

『きっときみは、その穴を抜けるためにこの世界にやって来たんだろう。
……バグにだってなんだって、そこにいて意味の無い人間なんていないのさ』


なら……彼女は、私に似ているというお姉ちゃんに会うためにこの世界にやって来たんだろうな――


――そう思ったとき、頭に激痛が走った私は痛さのあまりその場で倒れ込んだ。


「……千鶴!」

あまりに突然なことで、思わず私の名前で呼んだ三郎の声を最後に、私の視界は暗転した。