「ど、どうなされたのですか。天女様?」

焦って声をかけると同時に、後ろから物凄い殺気を感じて振り返る。
そこにいたのは女装して見事な美人になっていた兵助だった。


「……お前、天女様に一体何をした?」


ひっ……美人が凄むと迫力が違う。

私が何もしてないと言っても、そんなはずはないだろう! と叫びながら私にグイグイ近付いてくる兵助。
……これではらちが明かない。


「兵助くん、いいの……」

そう思ったところ、天女様が兵助を弱々しく制した。
兵助には効果覿面なようで、天女様がそう仰るのならば……と引き下がった。



「無理に聞こうとは言いません。
……でも、いつ頼ってくれても構わないですから、そんなに思いつめないでくださいね」


手ぬぐいを持って、ほとんど同じ高さにある涙の溜まる目元を拭った。
すると、さらにポロポロと溢れる涙。


「……本当に、そっくり…………」

彼女は一体、私を誰と重ねているんだろう。
さっき無理には聞かないと言ったので聞けないけど、私は無性に気になっていた。