女一人に男六人がぞろぞろと歩くのは変に思われるかもしれないということで、
なんやかんやあって私と兵助が女装することになった。


立花先輩にお前を化粧してみたい……なんて言われて、
朝早く忍たま長屋の私の部屋で、化粧をしてもらっていたのだけれど……。



「あの、なんとか言ってくれませんか……」


これで完璧だっ! と言って、私の姿を改めて確認した立花先輩が硬直してもう数分経つ。
さすがの私でも穴が開くほど見つめられると照れが出てきてしまうのでやめて欲しい。


そして、そのあとの沈黙を破ったのは私でも立花先輩でもなく……。


『千鶴…………っ!?』

三郎が勢いよく襖を開けた音だった。


そして、私の顔を見て唾を飲む三郎。


「三郎、私の顔なんか変?」
「いや……別に? それより、立花先輩に声をかけた方がいいだろ」
「それもそうだね」



納得して立花先輩の顔の前で手を振って、立花先輩? と何度も呼びかける。
するといきなりガッと手首を掴まれ、立花先輩は叫んだ。


「もう一度やり直させてくれ!」


それに対し、なぜか抗議の声をあげる三郎。
話の内容はよく分からないけど、よくもまあそんな朝から二人とも元気なものだ。



私は眠くて眠くて仕方がない……。

そう目を軽く擦りながらうとうとしていると、二人から人前で寝るなと怒られてしまった。