私が作法委員会の手伝いでフィギィアを運んでいると、私の名前を呼ぶ声が聞こえて振り向いた。
なんと六年生が全員揃っており、私は思わず近くにいた綾部に抱きついた。


「ん? ……うわ」

六年生を見た瞬間顔を歪めた綾部。

気持ちは分かるけど〝うわ〟は、ちょっと失礼じゃないかな……?


「探したぞ、真島＃＃NAME2＃＃!」
「えっ……私に何の御用ですか?」
「天女様がお呼びだ! と、いうことで、ちょっと失礼するぞ!」


小平太先輩がひょいと私を担ぎあげて、いけいけどんどんとばかりに走り出す。

……うっ、気持ち悪い。

鍛錬を怠っているといえども走る速度は大して変わらないのか……。
それとも怠っていてこれなのか……どちらにせよ恐ろしい。


すると、突然人気のない日陰の場所に降ろされ、私は尻もちを着いた。


……なんだ、私今から殺されるのか? 死なないからいいけど。


『……なぁ。私は細かいことは気にしないが、お前くのたまだろ?』


……なんでバレた? 私バレるようなことしたっけ……?
いや、もしかして重さとかでこう……男じゃないと判断されたのか?


『お前に殺気があったら今すぐ殺してやったんだが……。
何が目的で天女様に近付いているんだ?』

下手に知らんふりしたら逆に疑われそうだし……。
六年生相手にシラを切るのは得策ではないだろう。