「な、なんだこいつ……全然怖がらねえ!」

その様子に山賊も若干ひいていた。

急に怖がるのも変かな、と思ったけど
変に思われた方が殺されるかもしれないので、私は怖がる演技をすることにした。

「ひっ……! 山賊!?」


「時間差ありすぎだろ、なんだこいつ?」
「もうなんかよく分かんねえ! 殺そうぜ兄貴」

ちょっと待って。

殺されるのは大歓迎だけど短絡的すぎるでしょ!?
忍術学園の生徒達はみんな優しく見えたけど、この時代の人って短気なのかな……。


首元にキラリと光る切れ味の良さそうな包丁があてがわれ、私はごくりと唾を飲み込んだ。
怖くなったわけではなく、勿論期待からだ。


走馬灯というやつだろうか。

今まで思い出せなかった、死んだ瞬間の感覚について思い出した。


あの日……私はどこかの屋上から思い切り叩きつけられ、
気づいたらこの世界に転生していた――。


思えばもうちょっとキャラと話しといた方が良かったかな。


そんなことを思ったが、これから、私は、死ぬのだ。
その期待に、そんな後悔は通じない。

私はいつ刃が喉元に食い込むのかと、息を荒くしていた。