忍たま敷地に入った事情を綾部に話し、穴から脱出した後図書室に向かった。

すると、廊下であのスカーフが特徴的なきり丸に出会ってしまった。
騒がれる前に口を塞いだまま、図書室に無理やり連れ込む。


……これ現代でやったら、私犯罪者まっしぐらだよね……。


でも騒がれてしまっては大変だ。
綾部はああだから騒ぐまではしないだろうと思ったけど……。


今回の相手はきり丸だ。苦しいと私の腕を軽く叩くきり丸に、騒がないでと忠告をして口の封を開けた。


咳込みながらゼェゼェと肩で息をするきり丸に罪悪感を抱いて謝ると、
図書室に既に居た図書委員の子達は、その様子を唖然とした顔で見ていた。


「ごめん、事情を話すね……」

・

「なるほど……そんな事情があったんですね」

昨年から図書委員会に所属している……確か、久作……という名前の少年が神妙な面持ちで頷いた。


「先輩、忍たま長屋の構造よく分かってないでしょう?
よければ各委員会の所まで僕〝達〟がご案内しますよ」
「俺もっすか!? 俺、バイトあるんすけど……」


なんだ、先輩に逆らうのか?きり丸。
久作のセリフに、半べそをかきながらいいえ……と呟くきり丸。

そんな二人に苦笑しながら、私は是非と返事をした。