そして、天女様が来てからそれなりに月日が経ち……。
学園長に呼び出された私は、園長室へ入った。

「失礼します」
「おお、来たか。さっそく本題なのじゃが……」


本当に早速だな。
最近そんなに切羽詰まることって、もう天女様のことしか思い浮かばないんだけど。

「お主に、天女をどうにかして欲しいのじゃ」
「構いませんが、何故私に?」


それは、お前にこの世のものではない力を感じるからじゃ。

学園長の言葉は的確で、最強設定という力を授かった今のこの私は確かに生きていない。
この世界では生きているが、元の世界……平成では死んでいる人間の一人なのだ。


「私はくノ一なのであまり知らないのですが、今忍術学園はどのようになっているのですか?」
「おや、お前のことだからもう野次馬をしに行っておると思っておったがのう」

からかうように笑う学園長に反して、私は息をのんだ。

異常に早い時の流れの中で、忘れるはずもない図書室への侵入……。
その二つがバレていたなんて思いもしなかった。


普段はただの面白い爺さんって感じだけど、さすがは元忍者だ。


「お前は特別に忍術学園への出入りを許可する。
分からないのなら、その目で学園の惨状を見てくるのじゃ」
「はい!」


私は失礼しました、と戸が音を立てないようにしてゆっくり閉じた。