さっそくくノ一長屋に帰ってきた私は竹谷の変装をとり、ちょうどそこにいたひなちゃんに声をかける。


『あ、ひなちゃん。ちょうどいいところに』

そう言うと、ひなちゃんは太陽ばりに眩しい笑顔を私に向けた。

『お姉ちゃん、どうしたの?』
『あのさ……』


ついさっきのことを伝えると、ひなちゃんは首をひねった。

『私、上級生とあの三人ぐらいしか知らない』

あ、そういえばひなちゃんは上級生が好きなんだった。
まだ私とか竹谷達が四年だから、あの子の実際の学年は三年なのか。


『ごめんね、役に立てなくて』
『ううん。いいんだよ。いつもありがとうね』

そう別れを告げて、私は食堂に向かった。
……あれ、ひなちゃん上級生好きなのに、なんで食堂誘ったとき来なかったんだろう。

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「なぁ、さっきから思ってたんだが、なんで八左ヱ門はそんなに落ち込んでるんだ?」

そう声をかけたのは三郎で、それに対してよく分かったな……とやはり落ち込んだ様子で竹谷が返した。
何があったの?と心配そうに見つめる雷蔵、反してニヤニヤしている私。