三郎に校庭の隅っこに呼び出された。

三郎に呼び出されるなんて初めてだけど……一体なんの用だろう。
私は特に何もした覚えはないんだけど……。



「今日千鶴を呼び出したのは、他でもない。
……お前、この間勘右衛門と出かけてただろ?」

「えっ、なんで知ってるの?」


尾浜が委員会のよしみで話したわけじゃないだろうし……。
〝このことは二人だけの秘密だよ?〟って言い出したのは尾浜だし、無論私も話してないはずだ。


「ちょっと町で任務をしていて、その時に偶然見た。
……勘右衛門と付き合ってるのか?」

「いや、付き合ってないよ」


そう返すと、まぁ、そうだろうな。と返ってきた。


半笑いで三郎は言う。

「……だってお前、みんなが同じくらい好きなんだろ?」


さすが、変装名人と言われるだけあって人の観察に長けてるね。
そう言って暗に肯定してやると、三郎は少し顔を歪めた。


「それで、それだけを聞きに来たの?」
「違う。私もお前と町に行きたいんだ、勘右衛門と行ったんだから私もいいだろ?」


……要は、私と町に行きたいというわけだ。


特に断る理由もなく私は快諾した。