私が戦術や人間の心理にまつわる本を読み始めて早数ヶ月……。


私は無事四年生に進級した。

あぁ、そういえばお腹が空いたな、とついで程度に食堂に行く頃には誰もいなくなっていて、
食堂にいるのはおばちゃんとうどん毛の尾浜だけだった。


尾浜とはよく一緒にいるものの、一対一で話したことは全くない。
いわゆる友達の友達……的な感じで、私は今すぐ食堂から出ていきたくなった。


「やあ、千鶴ちゃん。なんだか疲れてるみたいだけど大丈夫?」

……だけど、当の本人に話しかけられてしまったので、応えないわけにもいかずに私はこう応えた。


「あぁ……ちょっと、色々あって知識を蓄えてるの」

それだけ伝えると尾浜は興味を持ったようで〝色々〟の内容を聞いてきた。
尾浜はなるほどねぇ、とだけ言って少し考える仕草を見せた。


「最近、新しいかんみどころが出来たらしいね」

その一言に私は固まる。


かんみどころって、なに……!?
会話を続けるためには知ったかをするしかない……!

そしてとりあえず分かった情報だけ言おう。