目が覚めると私は見覚えのない和室にいた。

そして、隣に敷かれた布団には一回りほど違う見知らぬ可愛い女の子。
……誰?


昨日何があったか思い出せない……。
頭は軽いから酒で記憶がないわけじゃなさそうだし……。


悩んでいると、隣の女の子が起き上がる。

……驚いて、反射的にたぬき寝入りしてしまった。


「もう。馬鹿にしてる? たぬき寝入りしないで」
「えっ、なんで分かったの!?」


ベリっと布団を剥がされ飛び起きると、女の子は私の反応に驚き戸惑っていた。


「……あのねぇ、私たちはくノ一志願なのよ?
そんなヘッタクソなたぬき寝入りバレるに決まってるじゃない」


くノ一……!?
何やら面白そうな響きだ!


彼女の様子から察するに、くノ一というのは彼女の妄言ではなさそうだ。
だとしたらこれは私の夢なのかな? 私の好奇心が疼くな……。


そんなことを考えていると、目が輝いてしまっていたのか焦ったように声をかけられる。


「ちょっと、千鶴。さっきからどうしたの、貴方らしくない」


……もしかして私、私じゃない誰かになってる感じ?

っていうか、私の名前なんだっけか?
あ、いやそれは志摩 千鶴だ。よかった思い出せた。


しかし、ここはどこか結局分からないままだ。
……でも、ここ、私のいた世界じゃない気がする。


「……只事じゃないわ。今すぐ学園長の元へ行きましょ」


学園長……? ここ、学校なの?
くノ一で学校って……あのアニメしか思いつかない。

そんなことを思いながら私は腕を引かれていた。