食堂にて……。

「ヘイ三郎、変装を教えて」
「なんだその声掛けは。ふざけるようだったら教えんぞ」

なんでだ、私は至って真面目に聞いてるのに。

「真面目の意味をもう一度確認しろ。
……それで、なんで変装を教えてもらいたいんだ?」

あっ、なんだ。
普通に教えてくれるならもっと早く言ってよ。

私はこの間戦闘の怖さを知った出来事を話した。


「記憶喪失とはいえ、それでくノ一を続けるつもりか?」


まあね、と答えると難しい顔をして考え込まれてしまった。
……その顔で悩まれると、まんま雷蔵だ。


趣味の死が潰されてしまっては、もはやこの世界の楽しみはできるだけこの世界のメインキャラに関わることしかない。


多分ここから出てしまったら最後、やることがない。
まぁ時代が違うし多少は楽しめるだろうけど、やっぱり忍術学園にいるのが一番だ。


「確かに変装した相手になりきることによって戦闘への恐怖は薄れるだろうが……
そこまでなりきるのにはそれ相応の努力と時間が必要だ。それでもやるのか?」
「うん、もちろん」

「バカ、本当に今の間で考えたのかよ」

もちろんさぁ、とピエロのように言ってみたが、見事に変なものを見る目で見られた。
……これが、カルチャーショックってやつか……。

このネタが通用しないことに愕然としていると、もう三郎は消えていた。