ナデシコ
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我慢の限界だった。いつも隣で微笑む彼女をみて、触れたい、と思っていた。だから、アズールに相談をしたのだ。
「ゴーストを実体にする、ですか」
「えぇ。アズールならばできるのでは、と思いまして」
「異例のことではありますが、もし依頼が来れば、勿論請負いましょう。ゴーストの依頼人だろうがね。対価はいただきますが」
彼は努力家でプライドが高い。出来ない、とは言わなかった。眉を寄せ口元を歪めた笑みを浮かべる。これで彼女にこの話をすれば興味を持ってくれるだろう。いつもプランターに手を伸ばし、スッと通り抜けた手を哀しそうに見つめていた彼女だ。物に触れたいのは確かなのだろう。これで対価を僕のものに、という条件にすれば完璧だと思っていたのに。彼女は想定外の依頼をしてきた。
「私、自分のことを知りたいんです」
「はい?」
てっきり、僕の話から『実体にしてほしい』という依頼が来ると思っていたアズールはキョトンとした顔で僕の顔を見た。これはこれは、僕も想定外です。と言わんばかりのキョトン顔をアズールに返す。隣のフロイドは僕たちの顔を覗き込み、あはははは!っと爆笑していた。
「あの…」
「あっ、あぁ、失敬。自分のことを知りたい、とは?」
彼女は自分がどこからきたのか、何故ここにいるのか、いつ、死んだのか。そういうことを知りたいのだと言った。彼女の素性調査など、ゴーストを実体にする依頼よりは遥かに簡単だ。彼女が元々この世界の人間であるならば。
「かしこまりました。その依頼、このアズールにお任せください」
「ありがとうございます」
多少計画が狂ったが、思わぬトラブルは大歓迎だ。彼女の嬉しそうな表情を横目に、ああ、彼女に触れられるのはいつだろうか。と舌舐めずりをした。