ナデシコ
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今にも泣き出しそうな彼女は頷いた後、決意を固めた様にアズールをまっすぐ見つめた。
「私に、この魔法薬を飲ませてください」
「いいのですね?」
「はい」
「ジェイド、フロイド。早速ですが、これを実体の名前さんに飲ませてきてください」
「はい」「はーい」
フロイドと2人ですぐさま部屋を出る。すれ違い様に彼女を見ると視線に気づいた彼女は優しく微笑んだ。「また、会いましょうね」彼女の唇が言葉を紡ぐ。勿論、そのつもりだ。彼女を手放す気はない。応える様に微笑みを返した。バタン、と扉が閉まる。
「ちなみにアズールさん、この魔法薬の対価は…?」
「ご心配なく。既に頂いています。…守秘義務に反しますので本来ならば教えてはならない情報ですが。これは僕の独り言です」
「?」
「最初から、アナタと契約は結んでおりません」
「え?」
「何も持たない幽霊と取引をするなんてデメリットでしかありませんし。そもそもアナタ、ペンも持てないのに契約書にサイン出来ないでしょう」
「確かに…」
「僕は初めからジェイドと取引をしているだけですよ」
白いベッドの上で眠る彼女の唇に指を這わせる。この魔法薬はすぐに効果を発揮するだろう。帰る頃には彼女はもういない。目を閉じ、深呼吸をする。
「ジェイド」
「分かっていますよ、フロイド」
僕らの髪色と同じターコイズブルーの液体を口に含み、眠る彼女に唇を寄せる。彼女の口を開くと魔法薬が流れ込んだ。ゴク、と彼女の喉が鳴ったことを確認し、唇を離す。瓶の中身が全てなくなるまで、何度も繰り返した。
「そろそろクリオネちゃん起きるんじゃね?」
「行きましょうか、フロイド」
「起きるとこみてかねぇの?」
「起きてすぐ見知らぬ僕たちがいたら驚くでしょう。外から確認だけはしますが、今は部屋を出ましょう」
「ジェイドがそう言うならイイけどぉ」
「また、お会いしましょう。名前さん」
「クリオネちゃん、まったねぇ〜」
「逃しませんよ。貴女は僕のものだ」
愛しています。
最後に口づけを一つ落とし、病室を後にした。