ナデシコ
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「さて、名前さん。アナタについての調査結果がこちらになります」
モストロ・ラウンジに到着するとジェイドさんとフロイドさんが出迎えてくれた。案内されるまま、所謂VIPルームと呼ばれる部屋に入るとアズールさんが座っていた。緊張しつつ、彼の目の前に座ると、私の目の前に茶色の封筒を差し出し、そう言った。
ふぅ、とため息をひとつ。開封し、結果報告書に目を通す。
「これって…!」
「えぇ、ジェイドとフロイドがアナタの実体を確認致しました。間違いなくアナタはまだ生存しています。ただ、ご覧の通り幽体離脱している状態ですがね」
私が昏睡状態であるならば元の体に戻れば元の私は目を覚ますのだろうか。何にせよ、朗報だと思った。まだ生きているなら戻れる可能性がある。ジェイドさんに想いを告げることもできるだろう。嬉しさが隠し切れなかった。そんな私を見つめるジェイドさんの表情が曇っていたことも知らずに。
「アズールさん、ありがとうございます」
「僕にかかれば大したことではありません。ですが、一つ問題が」
「私が元に戻る方法、でしょうか?」
「察しがいい。ジェイド、彼女に例のものを」
「かしこまりました」
ジェイドさんはテーブルの上にコトン、と巻貝の形をした瓶を置く。中にはジェイドさんとフロイドさんの髪色のようなターコイズブルーの液体が入っていた。
「これは…?」
「魔法薬です。これを実体のアナタに飲ませれば、アナタは元の体に戻ります」
「本当ですか!?」
「但し、」
言葉を一度切って目を伏せたアズールさんは、ジェイドさんの様子を横目で伺うと再び口を開いた。
「アナタは幽体離脱していた間の記憶を全て失います」
学園のことも、僕らのことも。
浮かれていた気持ちが急に沈んでいく。アズールさんは好意で魔法薬を用意してくれたんだろうし、きちんと飲む前に副作用まで説明してくれている。なのに、なんて酷いことを言うんだろうと思った。
「…それは、本当に全部ですか?ここで感じたこと、楽しいとか、そういう感情も忘れてしまうんでしょうか」
「恐らくそうでしょう。勿論、特別アナタと親しかった様に見えるジェイドのことも例外ではありません」
「っ、」
目頭が熱くなるのを我慢し、ジェイドさんを見上げると心なしか寂しそうに微笑んでいる。そして、ジェイドさんは私に近づき、膝跨いた。
「名前さん」
「ジェイドさんっ、私…」
「先程、申し上げたでしょう。僕は貴女に触れたいと思っています」
「でもっ、それじゃあ私はジェイドさんのことを忘れてしまうんですよ」
「僕も見縊られたものですね。忘れてしまうなら、もう一度出逢いをやり直せばいい」
そうでしょう?
僕は必ずまた貴女に会いに行きます。
貴女も僕を見つけてくださいね。
そう微笑んだジェイドさんに向かって、こくりと頷いた。