ごちゃまぜ
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※不毛な恋の続き。悲恋で終わらせたい方はバック推奨。
「ジェイドってたまにバカだよね」
「…煩いですね」
はぁ、と頬杖をつき溜息を吐く。つい先程のことだ。玄関からガタガタと大きな音が響いたせいで、覚めてしまった眼を擦ると、今にも倒れそうにフラフラとよろめく片割れが寝室の扉を蹴破る勢いで開けたのだ。いつもと違うその様子に声を掛けるが、ジェイドはそのままフロイドが寝ていたベッドに突っ伏した。
「ちょっとぉ、ジェイドのベッドそっちだから」
「フロイド」
「なにぃ」
「彼女と付き合うんですか」
彼女。それはジェイドが気にかけている彼女のことだ。いつもジェイドは彼女の話になると嬉しそうな表情をしていた。…キノコの話をする時のように。それはさておき、彼女とは実際に会ったことはなかったが行く行くは片割れの番になる人物なのだろうと認識をしていた。今日、偶然にも街中で会ってしまったのだが。それが何故、自分と付き合うということになっているのか。
「なにそれ、付き合うわけないじゃん」
「ですが、彼女は、僕の知っている人物だと」
「はー?話が読めねー」
ベッドに倒れ込んだまま、うじうじと話す片割れの、珍しく要領を得ない話を纏める。つまりは、こういうことだ。
「自分に健気に好意を向けるあの子が可愛くて虐めたくなったと」
「はい」
「で、他に好きな女がいることにしてあの子をセフレにしたけど遂に見限られたわけ?」
「…はい」
「自業自得じゃね?」
そして冒頭に戻るのだ。普段はあんなに冷静に周りを見ることができるのに、自分の事となるとまるで駄目になる片割れを心配しつつも、これは完全にジェイドが悪い。自己責任だ。とは言いつつこんなに落ち込む片割れを放って置くことはできない。
「今日さー、声掛けられたんだよね」
「…」
「ジェイドくん?だって。オレをジェイドと間違えるなんてありえねーって思ったんだけどさァ」
「…そうですね」
「振り向いたら顔赤らめててさ、すっごく嬉しそうな顔だったよ」
「…」
「オレがジェイドじゃないって気づいたら落ち込んでた」
「…そうですか」
「オレは、あの子もジェイドのことすっごく好きなんだと思ったよ」
「それは、」
唇を噛み締める片割れの隣に横になる。バカだなぁ、ジェイド。彼女に今日初めて会ったオレですらこんな簡単なことに気付くのに。本当に自分のことは途端に疎くなる。自分と同じ色の髪をそっと撫でた。
「よしよし」
「子供扱いしないでください」
「あっは、オレに嫉妬して拗ねちゃったんでしょ」
「だったら何ですか」
「ジェイドもかわいいとこあんじゃん」
ジロリ、と睨んできた片割れを尻目にクスクスと笑う。たまにはこんな風に落ち込んでいる片割れも揶揄い甲斐があって面白い。でもやっぱり、ジェイドが楽しそうにしている方が好きなのだ。今回のことは擁護できないが、もう一度片割れにチャンスをあげてもいいんじゃないだろうか。スマホを取り出し、今日交換したばかりの連絡先へメッセージを送る。
「ちゃんと話してきなよ」
「ですが彼女はもう僕のことなんか」
「うじうじジェイドうざぁ」
「ひどいですね」
「いや、どっちが」
「…確かに」
ジェイドは少しいつもの調子に戻ってきたらしい。クスクスとお互い笑みがこぼれる。
「フロイド、ありがとうございます」
「別にぃ。あ、元気出るようにお兄ちゃんが添い寝してあげようか?」
「誰がお兄ちゃんですか」
「えー、オレ今日お兄ちゃんっぽくね?」
「普段なら絶対僕の方がお兄ちゃんっぽいですよ」
くだらない掛け合いをしながら、スマホのメッセージアプリを開く。先程の返信をみて口元が緩む。あとはジェイド次第かな。スマホを放り出して、幼い頃のように2人寄り添い同じベッドで眠りについた。
『明日、直接話したいことあんだけど』
『私もお渡ししたいものがあります。今日と同じ場所で会いましょう』
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