恋をそだてる
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そもそも考えてもみろ。まだ土俵にすら立っていないのではないだろうか。彼女のオレへの評価はきっとただの客だ。彼女を手に入れる云々よりも先にオレ自身を恋愛対象として見てもらわなければ意味がない。折角今日は彼女が誕生日を祝ってくれるのだ。距離を縮めて、
「ってなんでお前ついてきてんの」
「センパイが振られるところを是非とも拝見しようかなーなんて思ったりー」
「ざけんなっ」
こんのクソガエル。ど突きたいのは山々だが店の前に着いてしまっては仕方がない。余計なことは言うなよ、と念入りに釘を刺し、フランと共に中へ入った。
「王子様、いらっしゃいませ」
「うわー、センパイ王子様なんて呼ばせてるんですかー」
「お友達ですか?」
「初めましてー。ベルセンパイのオトモダチのフランと言いますー」
「誰がオトモダチだっつの」
「ふふ、お二人とも座ってください。寒かったでしょ」
言われるがまま席に着くと彼女は準備していたらしい料理を出してきた。サラダにスープにこれは、
「寿司?」
「これなら私にもできると思って。ちらし寿司です」
「わー、ケーキみたいですねー」
「王子様、お誕生日おめでとうございます」
「…さんきゅ、っておい何先に食ってんだよ」
「美味しそうだったのでー」
「てんめぇ許さねー」
わいわいと誕生日を祝ったのはいつぶりだろうか。余計なカエルもいるが、彼女と誕生日を過ごせたことに変わりはない。残るは帰る前に、今日こそはと思っていたことを彼女へ伝えるのみだ。
「なぁ、誕生日のお願い、聞いてくんね?」
「もちろん、なんですか?」
「ベルって呼んで」
「ベル、さん?」
「そっ。オレ、ベルフェゴールっつーの」
「んで、アンタの名前は?」
「私は名字名前、です」
「名前、クリスマス予定空けといて」
18時に迎えに来る。
ポカーンと口を開け、間抜け顔の彼女と未だにご馳走をもぐもぐ頬張り、横目でじーっとこちらを伺うフランを置いて先に店を出た。
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