恋をそだてる
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「約束通り、迎えにきたぜ」
時計の針はピッタリ18時を指している。彼女が心なしかいつもよりおしゃれをしているように見えるのは気のせいだろうか。やっぱり彼女は律儀に予定を空けてくれたようだ。
「いらっしゃいませ。私、今日の予定空けときます、なんて返事してないですよ」
「ししっ、でもほら、待ってただろ?」
「そうですけど」
ぷくーっとほっぺたを膨らませた彼女の手を取り、手の甲に口付けると、いつも何事も動じず笑顔を見せていた彼女が、顔を真っ赤にさせた。
「ちょっ、ベルさんっ」
「怒んなって。さてと、そんじゃ行こーぜ、お姫様」
「もうっ。ふふっ、姫なんて年齢でもないですよ」
「オレが王子なんだから、オレの運命の人はお姫様って決まってんの」
「ベルさん、なんだか今日はグイグイきますね」
そりゃあ、まぁ。今日はとことんオレを意識してもらわないと次のステップに進めないからな。正直、彼女を気に入っているのは確かだ。でもこれは馴染みのカフェの店員に対しての好意なのか、それとも。それを確かめる為にもオレには彼女と過ごす時間が必要だと思ったのだ。ただの客としてではなく。
「ししっ、割とオレ、肉食系なんだぜ。知ってた?」
「なんだか意外です。ベルさん、飄々としてるので、来るもの拒まずな人だと思ってました」
「まぁ…、そういう時期もあるよな」
「あったんですね」
クスクスと笑う彼女だが、時折哀しそうな表情をみせることがある。それも一瞬だったが、その顔が何故か気になっていた。加虐心を擽ぐる表情でもあったのだが、それよりもオレは彼女の笑顔が好きだと思ったし、こうやってくだらない話で笑ってくれる彼女自身が好きだと思った。…ってアレ、これ、確かめなくても答え出てんじゃね?
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