花房くんと私
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―ボクと一緒に練習しない?
まさかあの花房くんからそう言われるなんて。ボーッと、昨日花房くんに言われた言葉を思い出していた。お蔭で寝不足。(決して花房くんが悪い訳じゃない)これから一緒に練習できるなんて思わなかったからすごく楽しみ。パティシエールを目指すのも悪くないかもしれない、と思う私はなんて単純なのだろう。
「名前ちゃん、おはよう」
『あ、おはよう。花房くん』
挨拶もすっかり日課になった。ただ少しだけ、まだドキドキするけれど。それにしても花房くんって本当に綺麗だなぁ。男の子なのに。私にその容姿を少し分けて欲しい。ジーッと見つめていると不審に思ったのか、ボクの顔に何かついてる?と聞かれてしまった。
『ううん、なんでもないの』
「そう?あ、今日の放課後行くよね、」
調理室。にこにこと微笑みながら聞いてくる花房くんに私は頷いた。
『昨日の実習の復習したいんだ』
「マドレーヌ?」
『そうなの。美味しくないわけではなかったんだけど…』
「マドレーヌって奥が深いお菓子だよね」
『うん、結構むずかしくて…納得のいく私だけのマドレーヌが作りたいんだ』
それを聞いた花房くんはにこっと笑った。
*
「さて、それじゃあ名前ちゃんのためにマドレーヌについてレクチャーしちゃうよ」
そう言って花房くんはウインクをした。みんなの憧れスイーツ王子の花房くんが教えてくれるなんてこんな贅沢はない。
『よろしくお願いします!』
「うん、よろしくね」
まずは基本から、と手順を教えてくれる花房くんはやっぱり顔が整っていてついつい見惚れてしまう。
「名前ちゃん、大丈夫?」
ハッとすると花房くんの顔が目の前にあった。
『だ、大丈夫!ごめんなさい、ついぼーっとしちゃった』
「ボクに見惚れちゃった?」
クスクスと笑いながら言われた。図星だ。慌ててわたわたとしてしまう。
『ち、ちがうの…!』
「冗談だよ、かわいいね」
『からかわないでよ』
かわいい
それも花房くんにとっては冗談だろうけど、そんなこと言われたら照れてしまう。
「それじゃあ次は生地を作ってみようか。材料を混ぜるときはね、」
そう言って私の後ろに回った。私の手に花房くんの手が重なる。こうやって混ぜるといいよ。花房くんの息が耳にかかる。顔が熱い。
『は、花房くん』
「ん?」
『顔近いです…』
ごめんごめん。そう、クスクスと笑う。でも花房くんは離れようとしなかった。
「やっぱり、かわいいね」
その日はずっとドキドキして全然集中できなかった。
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