お酒に火がつく 前編
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
笹枝 立花(ささえだ りつ)
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それでは、早速中に入りましょうか」
バーボンの言葉で店の中に入ったのは、立花とバーボンの2人。
今日ここですることは、とある女性から情報を聞くこと。
女性から話を聞くのはバーボン。
そしてライは、外での見張り。
で、立花はというと、2階からバーボンを監視する役目だ。
退屈そうにお酒を飲みながらバーボンを見ていると、ある女性に声をかけた。
どうやら今話している人物が今日のお相手のようだが、ライに対してとも自分に対してとも違うバーボンの表情だ。
黒の組織としてはいいことだが、もしバーボンがノックだとしたら、油断できないと相手となるだろう。
そんなことを考えていると、バーボンが外に出た。
どうやら無事に情報を入手でたきたようだ。
立花も外に出ようと立ち上がったその時、お酒を飲みすぎたのか体がよろけてしまうと、誰かにぶつかってしまった。
「すみません」
「いえ、それよりも大丈夫ですか?良ければご自宅までお送り致しますよ」
親切な男性に、外で一緒に来た方を待たせているのでと伝えると、それは残念ですと言う男性の言葉が遠退いていく。
目を覚ますと、立花の両手は縛られ床に転がっていた。
それも、先程までいたバーではなく何処かの建物のようだ。
「お目覚めのようね」
声の聞こえた方に視線を向けるとそこには、バーでバーボンと話していた女性が立花を見下ろしている。
そしてその横には、立花がぶつかった男性の姿。
どうやら全て気付かれていたようだ。
黒の組織が女性の持つ情報を狙っていることに。
「私から情報を聞き出そうとした様だけど残念だったわね。あの坊やに話したことは全て嘘よ」
この身動きが取れない状態ではかなり危険な状況といえる。
何とかしてここから逃げ出してライとバーボンに連絡をとりたいところだが、簡単に逃げられそうにない。
それにしても、人から見下ろされるというのは不快なものだ。
「私を捕まえてどうするつもり」
「そうねぇ。貴女の口でも封じたら面白いんじゃないかしら。そして、貴女達の組織に嘘の情報が流れる」
女はニヤリと笑みを浮かべると、銃口を立花に向ける。
さようならと女が口にし引き金を引こうとしたそのとき、女の手に握られていた拳銃が弾き飛び床へ落ちた。
何が起きたのかわからずにいると、扉が開かれある人物が姿を表した。
「我々に嘘の情報が通用すると思いましたか?」
「バーボン!?」
「はい、助けに来ましたよ」
女に銃口を向けたまま、バーボンはニコリと立花に笑みを浮かべる。
すると、バーボンは女に近付いていき改めて情報を聞き始める。
女は観念したのかバーボンに話始め、今も床に転がったままの立花は、何とか自分で縄をほどこうとするがほどけずにいると、どうやら間に合ったようだなという声が降り注ぐ。
手を拘束していた縄が誰かにほどかれると、一気に緊張が解けたのか意識がくらくらとする。
そんな立花にかけられた、今は休めと言う優しい声音が聞こえると同時に、意識を手離した。
それからどれくらい経ったのか、目を覚ました立花は車に揺られていた。
「目が覚めたようだな」
運転席ではライが車を運転しており、一体あれからどうなったのか話を聞くと、あの後のことはバーボンに任せ、ライは立花を家まで送ることになったと話してくれる。
それから車内では沈黙が続き、いつもなら気にせずに話すというのに何故か声が出せずにいた。
何時もなら自分が有利に立つ側だが、今回は違う。
銃口が向けられた時、立花は恐怖を感じたのだ。
あの時と同じ恐怖を。
酔いは大丈夫かと、助手席に座る立花をチラリと見れば、その体は震えていた。
「どうかしたのか」
「別に何もないわ。ただ、昔のことを思い出しただけよ」
そう言い窓の外に視線を向けた立花の瞳は揺らいでいる。
だが、その理由はわからず、聞いてはいけない何かが立花にはあるのだとライは思った。
「今日はありがとう」
家の前に着いた頃には酔いもだいぶなくなり、車を降りると礼を一言残してマンションの中へと消える。
その姿を見送った後、ライはある人物に電話をかけ、出たのはバーボンだ。
「立花さんは送り届けたんだろうな」
「ああ、酔いもだいぶ覚めていたよ。キミの方は大丈夫だったのか」
「ええ、ジンには僕から聞き出した情報を伝えておきましたから」
ライとバーボンが電話をしている頃、家に戻った立花はベッドで仰向けになっていた。
そっと瞼を閉じると、あの日のことが昨日のように思い出される。
あれはまだ、立花が15の頃だ。
黒の組織のメンバーとして仕事をしていた立花の父親だったが、その父は組織を裏切った。
父は組織の人間に殺され、家族である立花達の家にまでその手は及んだ。
2階で眠っていた立花は、騒がしさで目を覚まし下へと下りた。
リビングの扉が開いており、そこからは電気の明かりが見える。
中からは話し声が聞こえ、父が帰ってきたのだろうかとリビングを覗いたその瞬間、銃声と共に母がバタリと床に倒れた。
母が倒れている床には赤い液体が広がり、その光景に立花は固まってしまう。
瞳に映るのは3人の男の姿。
そのうちの一人は、母の前で銃を向けていた。
怖くて体は震えてしまい、何が何だかわからなかったが、立花は銃を持っていた男に思いきりぶつかると、男が持っていた銃が床に落ち、それを拾い銃口を男に向けて構えた。
銃なんて勿論初めて触った。
撃ち方も何もわからない。
それでも、今目の前の人物が母を殺したことにかわりはない。
「どうやらあの男のガキのようっすね。兄貴、どうしやすかい」
サングラスをかけた男が兄貴と呼んだ人物は、立花にゆっくりと近付くが、恐怖でパニックになっている立花は母を撃った男のことしか見えていない。
そして、立花の耳元で囁かれたのだ。
それは悪魔の囁き。
「お前の母親を殺したこの男が憎いなら撃ってみろ。なに簡単だ、その引き金を引けばいい」
その言葉で、立花は銃を握る手に力を込め引き金を引いた。
だが、弾は全く違う場所に当たり、立花の体から一気に力が抜け手から銃が床へと落ちる。
これから自分も死ぬ、そう覚悟していたのだが、立花は殺されることなく組織に連れていかれた。
何故ジンが殺さなかったのかはわからないが、立花が銃を撃ったとき、ジンは笑ったのだ。
それから組織で生活していくうちにわかった。
自分の父が組織を裏切ったから、母は殺されたのだと。
だが立花は生かされた。
その理由をジンに聞いたことがあるが、答えてはくれなかった。
黒の組織の幹部の一人であるベルモットが言うには、ジンは兎に角立花を気に入っているらしい。
閉じていた瞼を開くと、立花は一人呟いた。
ただ一言、また楽しいことないかなと。
嫌な過去を忘れさせてくれるくらいの、楽しいことが。