お酒に火がつく 前編
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
笹枝 立花(ささえだ りつ)
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「まさか貴方と組まされるなんて思わなかった」
「僕もです。まさか、貴方のような凄い方と組めるなんて」
バーボンの言う凄い方と言う意味。
それは、立花が組織の中で誰に対しても対等に話し合える人物だからだ。
その理由を知っている者は、昔から組織にいた人物のみ。
だが、バーボンの様子からしてその理由も調査済みのようだ。
バーボンと組むのは初めてだが、立花はバーボンが組織に入ってきた時から知っている。
そして、時々組織のことを探るようなことをしていることにも気付いていた。
だが、それは言葉だけでの探りであり、本当にノックなのかがわからない。
「組織の方から聞いたんですが、笹枝さんはかなり前から組織にいたそうですね」
「ええ、そうよ」
普通に返事を返すが、バーボンは立花の苗字を知っていた。
組織内では皆下の名で呼んでいるというのに。
やはりバーボンは、組織のことを探っているのだと確信した。
だが、これだけではまだ情報不足。
決定的なものがなければノックとは言えない。
かといって下手に話せば、情報を漏らしてしまう可能性がある。
バーボンは慎重でいて確実に情報を集めている。
それは、組織内でも認められているほどだ。
だからこそ幹部にまでなれたのだ。
組織がどうなろうと自分にとってはどうでもいいことだが、バーボンの思い通りになるのはつまらない。
何時だって自分が有利に立つ。
それが楽しいのだ。
そして今日はチャンスだ。
簡単にボロを出してくれそうにはないが、ライ同様に正体を掴んでみせる。
「着きましたよ。今日のターゲットはあの女性のようですね」
「そうみたいね。じゃあバーボン、シッカリ任務をこなしてきてね」
バーボンが車から出ていくと、立花は一人助手席で待機した。
今日の仕事はターゲットから情報を聞き出すと言うもので、その仕事は探り屋であるバーボンの仕事。
そして立花に任されたのは、またも見張り。
ジンがバーボンを何故か嫌っていることは知っていたため、見張りをつけたい気持ちはわかる。
だが、まさか今日だけで2回も見張り役をするとは思っても見なかった。
そのお陰で自分の楽しみな時間が増えたのだからいいのだが、こうして一人車の中にいるというのは退屈だ。
ぼーっと窓の外を眺めていると、黒いニット帽を被った人物が視界に映る。
立花は窓を開けるとその人物の名を呼ぶ。
その声に気付いたライと視線が合うと、立花は手招きをして呼び寄せる。
「この車、今日はバーボンと仕事か」
「そう。でも、待ってる間退屈で」
そんなところに運良くライが現れた訳だが、ライは内心迷惑だろう。
だがこれで、バーボンが戻るまでは退屈しなくて済みそうだ。
こうして運悪く立花に捕まったライは、バーボンが戻るまで立花の子守りをすることになってしまった。
助手席の近くに立ち、煙草をくわえると火をつける。
そんなライに、煙草ってそんなに美味しいの、と立花が尋ねると、子供にはわからんだろうなとバカにされ、これでも成人越えてるわよと頬を膨らます。
「すまんすまん。そう怒るな」
あやすように頭に手を置かれ、やはり子供扱いされているようでムッとする。
だが、頭に乗せられた手が嫌だとは思わない。
そんなやり取りをしていると、バーボンが戻ってきた。
だがライを見た瞬間、貴方はここで何をしてるんだと喧嘩腰に言う。
ライとバーボンはライバルの様な関係で、よく喧嘩をしていることは前にスコッチと組んだ際に聞いたことがあったが、まさか顔を合わせただけでここまでバーボンの態度が変わるとは正直驚きだが見ていて面白い。
一体これからどんな展開になるのかと見ているとライは、退屈そうにしていたそこの彼女に呼ばれたんだと答える。
するとバーボンは、ならもう貴方は必要ないですね。
僕の連れがお世話になりましたとにこやかに言うと、運転席に乗り車を発進させる。
走る車の車内では、立花が笑っていた。
何がそんなに可笑しいんですかとバーボンに声をかけられ、思い出すのはあのバーボンのにこやかな笑顔だ。
顔は笑っているのに黒いオーラを出しており、自分が見ていたバーボンとは別人のようで、その変わりように笑っていたのだ。
「バーボンって、意外に子供だよね」
「そうですか?」
突然の言葉にキョトンとするバーボンだが、先程の光景を見ればバーボンのが子供に見える。
何だかとてもいいものが見れた気がし、車内で立花は思い出す度に笑っていた。
あの日から一月が経ち、立花はまた退屈な日々をおくっていた。
あれからライやバーボンと組まされることも会うこともなく、ただ退屈だった。
ベッドに横になり天井を見詰めていると、突然スマホが鳴る。
その音は、また立花を退屈な日々から救いだしてくれる。
画面を見るとジンと書かれており、久しぶりの仕事の呼び出しだろうと思っていた。
だが違った。
「ライがスコッチを殺った」
スコッチがスパイだと言うことは立花の耳にも入っており、前々からバーボン同様に疑っていた人物の一人でもあった。
スパイだと組織に知られれば確実に消されることはわかっていたが、殺ったのがライだと聞かされ正直驚いた。
ライ、バーボン、スコッチはよく3人で仕事をこなしており、スコッチは二人と仲が良かった。
ターゲットである人物すらも逃がすライが、スコッチを殺すとは思えない。
きっと理由があるんじゃないか、もしくは、スコッチも逃がしたのではないかと思ったが、スコッチの死はジンも確認済みだと聞きその線は薄い。
「で、今日は報告だけで電話をしてきたの?」
「いいや。今日はお前に仕事だ」
ジンに仕事の相手を聞かされ、これは面白くなりそうだと笑みを浮かべる。
それから時間は経ち夜8時。
今日のターゲットはバーにいるらしく、目的地までは組む相手がいつも通り迎えに来る。
そして時間にやって来たのはライだ。
車に乗り目的の場所に向かう途中の車内で、立花はスコッチの話をする。
「ジンから話は聞いたけど、貴方がスコッチを殺すなんて私は思えない」
「だが事実だ。バーボンにも見られているからな」
その言葉で、更に今日の仕事が楽しくなりそうだと、立花は笑いを押し殺す。
何故なら今日組む相手はライだけでなく、バーボンもなのだから。
前回の二人の様子を見てわかったが、意外にバーボンは感情的になりやすい。
もしかすると、バーボンがノックであるかどうかもわかるかもしれない。
そして、スコッチが本当にライの手で消されたのかどうかも。
そんなことを考えている間に目的地であるバーにつき、そこにはバーボンの姿もすでにある。
立花とライが車から降りバーボンに近付いていくと、バーボンがにこやかに立花に声をかけた。
だがその一瞬、ライに向いたバーボンの鋭い視線を立花は見逃さなかった。