3章 ポアロの仕事は思った以上
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倉山 紅那(くらやま くれな)
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そんなことを考えているといつの間にか眠っていたらしく、アラームで目を覚ます。
時間は朝5時前。
歯磨きをして顔を洗い、下に降り朝食を作る。
食べて片付けなどをしていたらすでに時間は6時。
ここからポアロまでをナビで調べたら、大体15分もあれば行ける距離。
だが、一応迷うことも考えて今から工藤邸を出る。
すると門の前に、見覚えのある車が止まっていた。
まさかと思いながら門から出ると、車から降りてきたのはそのまさかの人物。
「安室さん、どうされたんですかこんな時間に」
「今日は僕も仕事が入っているので、一緒にと思いお迎えに来てしまいました」
何とも爽やかに言っているが、一体いつからいたのか。
私が何時に工藤邸から出るかもわからないし、もしかしたらすれ違いになったかもしれないというのに。
公安、黒の組織、私立探偵。
こんな生活を続けていたらいつか体調を悪くしそうで心配だ。
「しっかり休まれましたか?」
「昨日は組織の方での仕事があったので、睡眠時間が少し短くなったくらいですね」
なのにわざわざ朝早くから迎えに来てくれたなんて、何故そこまで私に親切にしてくれるんだろう。
やっぱり、疑ってる人物にはマークが必要ってことなのだろうか。
「私を信じてほしいとは言いません。ただ、無理はしないでください。体調を悪くされたら大変ですから」
「倉山さんは優しいですね。ですが、心配されなくても大丈夫ですよ。必要な睡眠はとれていますので。それに、アナタのことは疑っていませんよ」
安室さんの言葉が本当かはわからない。
でも、目を細めて向けられた笑みは、紙面でも画面上でも見たことがない優しいもので、きっとこの笑顔は本当なんだと思えた。
当たり前の如くドアを開けられたので助手席に座ると、安室さんも運転席に座り車を発進させる。
元々工藤邸からポアロまでは遠いわけではないので、車だと早く着いてしまった。
それも、迷子になることなどを想定して早く出たので、駐車場に着いたのは6時10分とまだ早い時間。
「今日は梓さんがお休みで僕が鍵を預かっていますので、早めに開店作業をしてしまいましょうか」
お店の中に入ると、最初に来たときと違ってとても静かだった。
考えてみたら、ポアロにはトリップした最初に一度来ただけ。
あの時は梓さんや少年探偵団の皆もいて賑やかだったけど、開店前はこんなにも静かなんだと知る。
「あの、マスターは何時に来られますか? 挨拶をしたいのですが」
「それが、急な用事が入ったらしく今日は休まれるそうなんです」
用事なら仕方ないけど、一度も会わないで採用なんてここのマスター大丈夫かな。
なんて思ってたら、どうやら梓さんが私のことを知り合いだと話してくれたらしく、二人の知り合いなら問題ないと受け入れてくれたらしい。
安室さんの話だと、昨日梓さんが今日自分が休みだということを残念がっていたそうだ。
同じ女性が入ったことを嬉しがっていたらしく、私と会いたかったみたい。
嬉しいけど恥ずかしいという、なんとも言えない感情になる。
トリップして親しくなった女性キャラはいないから、梓さんと仲良くなれたら嬉しい。
今日は用事で休んだマスターだが、明日は元々のマスターの休みらしく、私と梓さん、安室さん、三人の出勤。
梓さんには明日マスターの件のお礼を伝えよう。
現在の時刻は少し経って6時17分。
私は用意されていたエプロンを奥でつけると、お店のテーブルを拭き、外の掃き掃除をする。
その間安室さんは食材の確認と準備をし、その後は私にレジの使い方を教えてくれた。
一応元の世界でレジをしていたことがあったので、とくに問題なくレジは出来そうだ。
それから7時になり、扉の文字をOPENにすると、少しずつお客さんが来始めた。
先ず最初に忙しくなるのはこれから。
しばらくしてお客さんが増え始め、やはり仕事前のこの時間に来る人は多いようだ。
私は注文を聞き安室さんに伝え、作られた料理をお客さんの席に運ぶ。
お会計をする人がいればレジに行かなければいけないため、思っていた以上に二人での作業は大変。
今日はマスターがいないから忙しいけど、私がポアロで働くことになったから、一人が休みでも三人いるからなんとかなる。
でも、今回の様に誰かが急に休まなくてはいけなくなったとき、二人になってしまう。
そうなったときでもスムーズに働けるように、私も早く慣れた方がよさそうだ。
朝の混む時間帯が過ぎると、ようやく店内は落ち着き始め、私は安室さんが料理する様子を横で見て作り方を覚える。
元の世界では独り暮らしだったからあまり自炊はしなかったけど、作れないわけではない。
一人分をわざわざ作ろうと思えなかっただけで、こっちの世界に来てからは沖矢さんもいるから料理をするようにもなった。
安室さんはアニメ内でハムサンドやケーキを作っていて、普段から料理をしていることは直ぐにわかる。
ひと工夫してたり料理の研究をしてるのは見ていて凄いなと思っていた。
見た目がイケメンでスポーツもできて料理もできる。
他にもギターまで弾けてしまったりとするんだから、世の女性が虜になるはずだ。
「では、今僕が作った通りに一度作っていただいてもよろしいですか」
そう言われ、今見ていたオムライスを作る。
出来上がったオムライスは安室さんが一口食べて「とても美味しいですよ」と褒めてくれた。
「これならお客さんに出しても問題なさそうですね。明日はまた別の料理をお教えしますので、お先に休憩に入ってください」
そう言いながら渡されたのは、お皿に乗せられたハムサンド。
いつの間にか作ってくれていたらしくお礼を伝えると奥へいき、ハムサンドを食べる。
アニメで見て作りたいとは思っていたのに、結局作らなかったハムサンド。
まさか本人が手作りしてくれた物を食べる日が来るとは、神様に感謝。
パクリと食べると想像以上に美味しくて、あっという間にペロリと完食。
次は安室さんにお昼をとってもらおうと思ったときふと気づく。
今私はオムライスしか作れない。
つまり、安室さんが休憩に入ったあと困るんじゃないかと。
取り敢えず店内に戻るとお客さんが運良くおらず、安室さんにお昼に入るように伝える。
すると、すでにお昼は済ませたと言う安室さん。
どうやら私が休憩に入って少しすると、お客さんが一旦お店からいなくなったらしく、その間に私が作ったオムライスを食べたようだ。
練習で作ったものだからなんだか申し訳ないけど、考えてみれば安室さんが味見したものを私が食べるわけにもいかないし、かといって処分するわけにもいかないから安室さんに食べてもらうのは普通のことだったのかもしれない。
「明日は梓さんもいますから、倉山さんなら早ければ明日中に全てのメニューを作れるんじゃないでしょうか」
「が、頑張ります!」
安室さんへのお礼でもあるし、梓さんにはマスターに話してもらった件がある。
二人に迷惑をかけないためにも早く覚えて仕事をスムーズに出来るようにならなくては。
その後のお昼時には、またお客さんが店内に増え始めた。
仕事休憩のランチタイムといったところだろう。
スーツ姿の人が何人かいる。
注文の中にはオムライスを頼むお客さんも多く、それだけは私に任されることになった。
最初の1回目のオムライスを安室さんが運んだ時は大丈夫か心配だったけど、そんなこと気にする間もなく私は会計や注文などで行ったり来たり。
なんとかお昼時の一番忙しい時間帯も乗り切り一息吐くと「オムライス、皆さん美味しいと言われていましたよ」と安室さんに言われ嬉しくなる。
これで後は閉店時間になるまで落ち着くだろうと思っていたのに、夕方くらいから女性のお客さんが増え始めた。
大人の人もいるけど圧倒的に学生が多く、安室さんを見てキャッキャッと騒いでいるのを見て直ぐにわかる。
今ここにいる女性客の殆どが安室さん目当てなんだと。
私が注文を運ぶと残念そうな顔をする女子高生達。
こんな風に実際に人気のある光景を見ると、やっぱり安室さんってモテるんだなと再認識する。