2章 日常品+a
名前変更
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倉山 紅那(くらやま くれな)
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「何故携帯ショップに?」
「倉山さんのスマホを買う為です」
元々スマホは持っていて、今も鞄の中にあるのになんでだろうかと思ったが、その疑問はスマホを買う待ち時間に沖矢さんが教えてくれた。
私のスマホを調べたところ、どうやらどこのショップにも契約された痕跡がなかったらしく、原理はわからないがそれでも使えているのが現状。
理由はどうあれ使えているから問題はないのだが、それはあくまで今は困らないというだけ。
もしスマホが故障したら直すことはできないし、データも全て消えてしまう。
そこで、こちらの世界での新しいスマホを買うべきだと判断したようだけど、一体その情報をどうやって調べたのか。
恐るべしFBI。
普段スマホは持ってるから、眠っている私の枕元から持ち出すしか方法はない。
ということは、沖矢さんは私が眠る部屋に勝手に入ったということ。
寝ている姿を見られたなんて恥ずかしいし、普通に言ってくれれば渡したというのに。
私の話を完全に信じたわけじゃないからこんな方法をとったんだろうけど、好きなキャラに疑われるのは思ったより傷つく。
仕方ないことなのはわかるけど、どこかで信じてもらえてると思っていた自分がいたのかもしれない。
そんな簡単に信じられるはずないのに。
親切にしてくれる沖矢さんやコナン君、安室さんを見ていて勘違いしていた。
私は疑われる側の人間だというのに。
スマホの購入手続きが終わり、再び車に乗る。
走る車の車内では、明らかに私の表情は暗かった。
心配した沖矢さんに声をかけらたけど、何でもないふりをして話を逸らすようにスマホのお礼を伝える。
この世界で私は身分を証明するものはない。
だから、このスマホも沖矢さん名義で契約してくれた。
それも、支払いは全て沖矢さんがしてくれるというのだ。
いくらなんでもそれは申し訳ないと言ったが「私がスマホを持たせたいから購入したんです。倉山さんが気にされる必要はありませんよ」と言われてしまった。
でもこれは流石に、と最初は引かずにいたが「受け取ってくれますよね」と言葉の圧をかけられ「はい」と言わされた。
スマホを持たせたいのは私を疑っているからなのか。
そんな考えが浮かんで、どんな優しさも信用されてないからだと結びつけてしまう自分が嫌になる。
信じてもらいたいなんて私の勝手な気持ちを押し付けたくないし、そもそも伝えて信じてもらえるなら始めから疑われたりなんてしない。
「もう少しでお昼になりますし、折角ですからどこかで食べてから帰りましょうか。食事代は私が出しますので」
「何から何まですみません」
本当なら、私が出しますと言いたいけど、二人分の支払いができるほどのお金は残っていない。
私のお財布事情は沖矢さんに話していないけど、トリップしてきたということを信じるとしたら、昨日の大量買いを見れば何となく察しはつく。
トリップしてきたことを疑っているとはいえ、信じない理由もない。
もしかしたら、私の言葉が嘘か本当か知るために、知らず知らずのうちに試されていたのかもしれない。
少なくてもスマホを買ってもらった状況を考えれば、お昼は出しますくらい言ってもおかしくはないし、大体の人はそう言う。
昨日あれだけの量を購入してうえ奢るなんて言っていれば、トリップと言う事実が沖矢さんの中で少し薄くなったんじゃないだろうか。
そんなことを考えて、また自分が嫌になる。
「ここのファミレスにしましょうか」
「はい」
駐車場に車を止めてお店に入ると、沖矢さんはメニューボードを見る。
私もメニューボードを見ていると「決まりましたか」と尋ねられドリアを選んだ。
すると沖矢さんはドリアを2つ注文する。
てっきりパスタ系を頼むと思っていた。
「沖矢さん、ドリアお好きなんですか?」
「そうですね。好きでも嫌いでもないですが、倉山さんと同じ物を食べたいと思いましたので」
これも何かの探りだったりするんだろうか。
そもそも私と同じ物を頼むつもりだったなら、メニューボードを見たのは選んでるふりだったということ。
沖矢さんの考えが全くわからない。
「先程購入したスマホをお貸しただいてもよろしいですか」
「あ、はい」
鞄にしまっていたスマホを渡すと、受け取った沖矢さんが電源を入れて何かを打ち込み「私の連絡先を入れましたので」と言う。
返されたスマホのアドレス帳を確認すると、赤井秀一の名。
いくら一緒に暮らしているとはいえ、ずっと一緒というわけではないので何かあったときのためだとは思うけど、何故沖矢昴ではなく赤井秀一で登録したのかわからず、画面に向けていた視線を沖矢さんへ向ける。
「誰にも見られないように、帰ったらキーロックをかけてくださいね」
「わかりました……」
疑っている相手のスマホに赤井秀一の名前で登録してよかったんだろうか。
そんな風に思っている私の心情を見透かしたように「私は信用している方にしか教えませんので」と言われ、さっきまでの暗い気持ちがスッと消えていく。
単純かもしれないけど、私はスマホをぎゅっと握り「嬉しいです」と笑顔を浮かべた。
疑われていると思ってた。
でも違った。
沖矢さんの優しさは、本当に私を思っての優しさだったことを知る。
新しいスマホに最初に載った名前は、私が好きなキャラ、赤井秀一の名。
それだけでこのスマホは私にとって特別な物になるのだから不思議だ。
その後お昼を済ませ工藤邸に向かう車内では、誰が見てもわかるくらいに幸せそうな私。
その様子に沖矢さんが笑った気がしたけど、そんなにわかりやすいだろうか。
工藤邸に帰ってくると、私は自室の椅子に座り沖矢さんに言われた通りキーロックをかける。
スマホ自体にかけたから、これでこのスマホを誰かに見られる心配はない。
勿論パスワードは赤井さんの愛車のナンバー『1202』。
もうこのスマホは赤井さん色に染まっている。
購入するときは私の気持ちが沈んでいたから沖矢さんに選んでもらったけど、その色がなんと黒。
赤井さんの好きでもあり嫌いでもある色。
何から何まで赤井さん色に染まったスマホ。
私はもう一つのスマホを鞄から取り出すと万が一の事も考えて、新と旧両方に同じ人物の連絡先を登録する。
先ずは旧に新の、新には旧の私の連絡先を登録しておく。
まさか新に登録するのが、赤井さんの次に自分になるとは思いもしなかった。
そして更に追加で載せる人物がいる。
先ず、旧のスマホから新の方にその人の連絡先を送り登録。
次に新の方からその人物にメールを送る。
送り先は勿論安室さん。
内容は、この世界でのスマホを購入してもらったことと、新しいアドレス、電話番号の報告。
これで旧の方には安室さんと新の連絡先。
新の方には、赤井さん、安室さん、そして旧の私の連絡先が載る。
最後に旧の方にもキーロックをかけるわけだが、新が赤井さんなら、やはり旧は最初に登録した安室さんの愛車、RX-7のナンバー『7310』で決定。
取り敢えずやることは終わり、ようやく一息吐くと新のスマホから「ピロリン」とメールの通知を知らせる音が鳴る。
画面には安室透の文字。
内容は、登録したということと、ポアロで働く日が決まったという連絡。
ポアロの営業時間は朝7時から夜20時のため、初出勤となる来週の月曜日は朝6時にお店に来るように書かれていた。
そして最後の文面には、週5での出勤は可能かということ。
とくに問題ないので大丈夫ということを返信する。
来週の月曜日ということは2日後。
ポアロで働くのは安室さんへのお礼代わりでもあるから、しっかり役に立たなくてはいけない。
働くことはまだ沖矢さんに伝えていなかったけど、初出勤日も決まった今が話すには丁度いいタイミング。
私は下へ降りていくと、椅子に座っていた沖矢さんにポアロで働くことを話す。
「そうですか。彼と一緒なら安心ですね」
一瞬表情が暗くなったような気がしたけど気のせいだろうか。
もしかしたら、私が安室さんと関わることで沖矢さんの正体を知られないか心配なのかもしれない。
「安心してください。スマホにはキーロックをかけましたし、沖矢さんの事は話しませんから」
「ありがとうございます」
こうして時間は過ぎていき、気づけば初出勤前日の夜。
今日から仕事に備えて早く寝ようと、夕食を済ませたあとはお風呂に入り、21時には自室のベッドで横になって瞼を閉じる。
アラームもスマホで設定済み。
朝食は沖矢さんの分も作っておくことを伝えたから温めて食べてくれるだろう。