1章 トリップしたらすること
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倉山 紅那(くらやま くれな)
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「ああ。この調子だとオレの正体も知ってそうだな」
「うん。でも、皆には秘密でしょ」
人差し指を自分の唇に当ててみせると、コナン君は笑みを浮かべ「頼んだぜ」と言い残し帰っていく。
そして私はというと、着替え終えた安室さんと工藤邸に向かう。
安室さんはこのまま今日のポアロでの仕事は終わりとのこと。
まだ営業時間ではあるが、今日はお客さんも少ないため梓さんがそう言ってくれた。
閉店作業を梓さん一人でやるのかと思うと申し訳ない。
工藤邸に向かう車内では、私がどれくらい知っているのかを探るように、遠回しな質問をされ「ストレートに聞いてくださって大丈夫ですよ」と言えば質問攻めにあった。
沖矢さんやコナン君、哀ちゃんに関しての質問は知らないと答える。
知られれば大変なことになりそうだし、話すときが来たら本人達から話すだろう。
そんな会話をしていると、紙面や画面上では見慣れた建物が見えてくる。
どうやら着いたようだ。
実際の建物を前にすると、思っていたより大きい。
「乗せていただき有難うございました」
お礼を伝えて車から降りようとすると「連絡先を交換しませんか」と言われ、何かあったときのためにも必要かなと思い教える。
こうして初期状態のスマホの最初を飾ったのは安室さんとなった。
「今、ドアを開けますね」
ここまで来ればあとはもう大丈夫だけど、声をかけるより先に安室さんは車から降りてドアを開けてくれる。
こうなると、自然と安室さんも一緒に来てしまうわけで、インターホンを鳴らすと沖矢さんが出てきた。
暗くてよく見えなかったが、沖矢さんはこちらを見るなり開眼したように見えた。
安室さんも一緒だったからだろうか。
コナンくんから連絡がいっててもいいようなものだが。
「彼女を送ってくださり有難うございます」
「いえ、女性の夜道は危険ですから」
二人の空気が張り詰めているのも気になるが、本物の沖矢さんを前に彼女と言われ、意味は違うがテンションが上がりそうになる自分を抑える。
今は安室さんもいるから、コナン君との約束を果たさなくては。
その為に先ずこの張り詰めた空気を変えようと、私は沖矢さんに自己紹介する。
コナン君から聞いているとは思うが、こうでもしないとこの二人の間に入ることはできない。
「私はこちらの工藤家の方々にお世話になっている、東都大学の大学院生で、沖矢 昴といいます」
知ってますとつい言ってしまいそうになる。
こんな風に沖矢さんと会話できるなんて嬉しいけど、何故か初対面な気がしない。
紙面や画面上で見ていたからだろうか。
不思議に思っていると「では、僕はこれで失礼させていただきますね」と、意外にあっさり帰ろうとする安室さんにお礼を伝え見送る。
「中へ入りましょうか」
緊張しながらも沖矢さんと一緒に工藤邸の中に入ると、お風呂の場所などを教えてくれる。
部屋は沢山あるが、何かあった時に安心ということを考えて、沖矢さんの部屋から近い部屋を使わせてもらえることになった。
「あの、沖矢さんはコナン君からどこまで聞いていますか」
知られても問題ないし、どちらかというと状況を把握しておいてもらいたいので尋ねる。
すると沖矢さんは自分の首元に手を持っていき、変声機の電源を切った。
「君は俺の正体を知っているんだろう。ボウヤから大体のことは聞いている。君がトリップしてきたということもな」
どうやらコナン君に話したことは全て伝わっていると思って良さそうだ。
話が早くて助かる。
知られてもいいとはいえ、同じ説明を何度もするというのは正直手間だと思っていた。
だが今は、更に重大なことがある。
それは、沖矢さんの声を聞けただけで嬉しいのに、まさか会って早々、赤井さんの声まで聞けたということ。
もうこれは感激の涙を流す程の一大事。
トリップして初めて良かったと思えた瞬間かもしれない。
「持っているものを部屋に置いて風呂に入るといい。湯は沸いている」
「ありがとうございます。あ、でも、私着替えがなくて」
私が持っているのはこの鞄のみ。
家から近い公園に出かけるだけだったから、着替えなど持ち歩いていたはずもない。
今日は同じ服を着て、あとは明日買いに行くしかないだろうなと思っていると、赤井さんは自室へ行き、一枚のTシャツを手に私の前に差し出す。
「これを着るといい。まだ使っていない物だ」
「ありがとうございます」
使用済みでも全然問題ないと言ったら変態扱いされそうだけど、新品を使うのはなんだか申し訳ない。
明日自分の物を買いに行くときに、この服と似た物を買って返そう。
折角のお湯が冷めないうちにお風呂に入り、全身を綺麗に洗いお湯に浸かると、やっと落ち着いたという気持ちになる。
まだ不安はあるし、コナン君達と関わるということは事件に巻き込まれるという未来に繋がるかもしれない。
それでも、今この状況がトリップした私にとって一番安全な方法だと思う。
なんていったって、探偵に公安、FBIまでいるんだから。
改めて考えてみるととんでもない世界にトリップしたものだ。
もし名探偵コナンの世界に転生かトリップができたら真っ先に彼に会いに行き、赤井さんに好きの気持ちを伝える。
なんて思っていたけど、実際は真っ先にコナン君に会いに行った。
やっぱり想像と現実は違うのだと実感する。
もし死体なんてこの先見ることがあればトラウマになりそうだ。
「お風呂ありがとうございました」
「いえ、服の丈も何とか足りたみたいで良かったです」
お風呂から上がったらすでに沖矢さんに戻っていた。
どちらも赤井さんに変わりないから好きだけど、そんな好きな相手にこんな姿を見られていることが恥ずかしい。
男性のシャツとはいえ、膝上しか隠れていないから気になる。
それに、服を替えたのに下着は替えないというわけにもいかず、今は下着をつけていないから尚更だ。
「あの、洗濯をしたいのですが」
「使っていただいて大丈夫ですよ。乾燥させれば直ぐに乾くでしょうから」
どうやら乾燥機能もあるらしく、洗濯は直ぐに洗い終わり乾いた。
この服は明日着るとして、下着だけはつけておきたいので脱衣所で服の下につける。
その後は、沖矢さんに先に眠ることを伝え部屋に行く。
洗った洋服を畳んで机に置き、鞄に入れたままになっていたスマホを取り出し電源を入れると、画面に一件の通知。
送り主は一人しかいないので直ぐにわかる。
内容は「明日は仕事が休みなので、倉山さんが必要な物を買いに行きましょう。ついでに、この辺の案内をしますね」というもの。
私の返事はyesしか用意されていない文面。
服など必要な物は買いに行きたいし、この辺を知っておきたいというのも思っていたため丁度いい。
私は早速返事を送り、朝の10時に工藤邸の前まで迎えに来てくれるという約束をして眠りにつく。