7章 得た情報は確信へ
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倉山 紅那(くらやま くれな)
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「倉山さん?」
コナン君の呼ぶ声にハッとした私は詳しい理由は伝えず、自分が沖矢さんに嫌われることをしたからだと話す。
工藤邸には戻れないけど、安室さんのお家でお世話になることになったから、沖矢さんにも伝えてもらうように話すと「うん、わかったよ」とだけ言い残し、コナン君はお店を出ていく。
沖矢さんがコナン君に話さなかった理由はわからないけど、小川さんが話した嘘を私がコナン君に話す必要はない。
ただ、私が沖矢さんを裏切って嫌われることをしたのは事実だから、それだけは伝えた。
心配をかけないようにと思ってコナン君に頼んだけど、安室さんと一緒なんて逆に不安にさせるかもしれない。
私が何を話すかわからないだろうから。
もしかしたら、すでに沖矢さんの正体を私が安室さんに話したと思われてしまうかも。
なんて考えたところですでに遅い。
それから閉店時間。
私は安室さんと駐車場へ向かう。
何だか変な感じ。
安室さんと並んで歩いて一緒のお家に帰るなんて。
ポアロから近い場所に止めている安室さんの車。
白のRX-7が見えてきたと思うと、一人の人物のシルエットが見えてくる。
近付いていく私と安室さんの目の前に現れた人物は沖矢さんだった。
「偶然、ではないですよね。何故貴方がここに?」
「コナン君から貴方と彼女が一緒だと聞いたものですから迎えに来ました」
やっぱり私が何か話さないか不安だから来たんだと思い、睨み合う二人の間に入ると「何も心配いりませんから」と沖矢さんに伝える。
本当に何も話さないから安心してくださいと目で訴えていると、突然腕を掴まれ私の身体は沖矢さんへと寄せられた。
「彼女は私の恋人ですから」
「恋人、ですか。彼女に悲しい思いをさせる貴方に恋人を名乗る資格はないと思いますが」
何故こんなことになっているのか。
二人の目が更に鋭くなり、沖矢さんなんて両目開眼させている。
私の信用がないからだということはわかるけど、どうしたら信じてもらえるのか。
沖矢さんの正体もだけど、私が安室さんに何かを話すことはないって断言できるのに。
「彼女が風邪を引いてしまいますので、その手を放していただけますか?」
「そうですね。彼女が風邪を引かないように、直ぐに家へ連れて帰るとしましょうか」
二人の間では火花が散る。
兎に角今は沖矢さんと話す必要がある。
私は安室さんに、今日は沖矢さんと工藤邸に帰ることを伝えて別れた。
きっと帰ったら小川さんに睨まれるだろうけど、今日だけは耐えるしかない。
会話もないまま沖矢さんの車に乗ると、エンジンがかけられ車は走り出す。
何も話さないことを信じてもらえるように話すしかないのに、何だか気まずくて言葉が出ずにいると車が止まる。
工藤邸に着いたのだろうかと伏せていた顔を上げると、そこはまだ工藤邸に向う途中。
どうしたんだろうかと視線を向ければ沖矢さんと目が合う。
「君の帰る場所は俺のところだ。これからは俺の目の届かないところへ行くな」
「大丈夫ですよ。私は沖矢さんのことやその他の情報も安室さんに話したりしませんから。信じてもらうのは難しいかもしれませんが……」
沖矢さんではない赤井さんの口調で言われても、工藤邸に私の帰る場所はもうない。
信用されずに疑われたまま一緒に暮らすなんて私が耐えられないから。
「君の言葉は信じている」
「信じてるって……。そんな嘘まで言って私をそばに置いて監視したいんですか? 小川さんから聞いてますよね。私がしたこと」
あんなの全部嘘。
でも、もし小川さんが安室さんに沖矢さんの正体を話したらと考えると、私はこれ以上何も言えない。
赤井さんは信じてると嘘まで吐いて私をそばに置こうとしてる。
監視するために。
そんな嘘聞きたくなかった。
信じてると言ってくれた言葉や仲間だと言ってくれた言葉も、私をそばに置いて監視するための嘘だったんじゃないかと思ってしまうから。
「君は何か誤解しているようだ。俺は最初から疑ってすらいなかったんだがな」
言葉の意味が理解できない私をそのままに赤井さんは言葉を続けた。
最初から小川さんの話が嘘だろうと疑っていたことや、小川さんが事実確認に拘り私の迎えにまで同伴したこと。
本人に確認すれば直ぐに嘘がバレるというのに余裕だった彼女を見て、何かあると思った赤井さんの考えは当たった。
小川さんは私に事実確認を迫ると、私はその場から逃げ出した。
彼女は自分の言ったことは事実だったと証明できて満足していたらしいけど、小川さんが私に何かを耳打ちしたことに赤井さんは気付いていた。
何を言ったのかまでは聞こえなかったらしいけど、その後の私の反応からして脅されたんだろうということは直ぐに察しがついたらしい。
その後工藤邸に戻った二人。
赤井さんは彼女に気付かれないように私と連絡を取るためメールや電話をしたが返事はなく、翌朝コナン君に私がポアロにいるか確認してもらうよう頼んだ。
「何故ですか? 小川さんの言葉が事実だという可能性もあったはずなのに」
「言ったはずだ。俺は君を信じていると」
その言葉が嬉しくて、私は初めて赤井さんの前で涙を流した。
もう信じてもらえない、嫌われたと思っていたのに違った。
赤井さんは最初から私の事を信じてくれていた。
そして今、私を連れ戻しに来てくれたんだと思うと嬉しさで涙が溢れて止まらない。
それから少しの間泣いたあと、私は話していいのか迷ったけど、赤井さんの「安心しろ」という言葉に心を落ち着かせ真実を伝えた。
ポアロで彼女が安室さんに話した内容や私を脅した言葉全て。
昨日からずっと言えなかったことを話すことができたからか、今は心がスッキリとしている。
でも、問題はここから。
赤井さんが言うには、今私を迎えに来ていることを小川さんは知らない。
このまま帰ればまた脅されたり嘘で私を皆から嫌われるようにするはず。
まだそれだけならいいけど、知っている情報を誰かに話されたりなんてしたらそれこそ大変なことになる。
「沖矢さん、やっぱり私は工藤邸に戻らない方がいいと思います」
「言ったはずだ。安心しろと」
停車していた車は再び走り出し工藤邸に到着する。
不安で一杯の私とは違い、沖矢さんは普段通りに扉を開け中へと入ったため私もその後に続くと「おかえりなさーい」と出迎える小川さん。
私に気付くとあからさまに嫌な表情を浮かべ「何で裏切り者がいるんですか?」と言いながら、まるで私の物とでも言うように小川さんは沖矢さんの腕に抱きつき私を睨む。
そんな彼女に沖矢さんは「倉山さんをいじめるのは辞めていただけますか」と口にする。
「だってその人は沖矢さんを裏切ったんですよ?」
「私は倉山さんを信じています。彼女はそんなことをする人ではありませんので」
沖矢さんの思いもしない言葉が気に入らなかったのか、彼女はもう隠す気もなく「なら、沖矢昴の正体が安室さんや組織に知られてもいいんですね」と沖矢さんまで脅し始めた。
逆ハーを狙っている彼女は自分の物にならないとわかったら何をしてでも手に入れたいみたい。
それがキャラに嫌われる行為だとしても。
それはつまり自分が中心でありたいだけでしかない。
そんなことのために沖矢さんや他のキャラ達を危険に晒そうとする彼女に私は怒りが湧き上がる。