7章 得た情報は確信へ
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倉山 紅那(くらやま くれな)
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翌朝私は、美味しそうな香りで目を覚ました。
キッチンを覗くと安室さんが朝食を作っていて挨拶をする。
本当なら私がやりますと言いたいところだけど、人の家の物を勝手に触るわけにもいかないし、手伝いますと言ったとしても私では邪魔にしかならないだろうから、任せてしまうのが申し訳ない。
「どうぞ。お口に合えばいいんですが」
流石安室さん。
朝から手のこんだ朝食が並べられ、私は手を合わせるとパクリと食べる。
沖矢さんの料理も美味しかったけど、自分で料理の研究をするだけあってお店レベル。
ポアロでは安室さんの考えた料理がメニューになることもあるから予想はしていたけど、まさか朝からこんな美味しい朝食を作っているとは。
「ご馳走様でした。とっても美味しかったです!」
「それはよかったです。あ、これをどうぞ」
そう言い手渡された紙袋には洋服が入っていて、これはどうしたんだろうかと安室さんを見ると、部下に頼んで用意してもらったと言われた。
部下というのは風見さんだとわかるけど、昨夜の21時を過ぎていた時間に頼んでくれたんだと思うと、安室さんへの感謝と風見さんへの申し訳なさを感じる。
折角用意してもらった洋服、私はお礼を伝えてありがたく受け取り早速着替える。
安室さんは私が着替え終えるまでリビングにいると言ってくれたけど、あまり待たせるわけにもいかないから素早く着替えて扉を開けた。
「すみません、お待たせしてしまって」
そっと顔を出した私を安室さんはジッと見ると「風見に任せたのは正解だったみたいだな」と呟いていたけど、それは似合ってるってことなんだろうか。
何だか急に恥ずかしくなって、私は誤魔化すように「食器の片付けは私がしますね」とシンクの前に立つと食器を洗う。
昨日の事が全部嘘みたいに思えてしまうけど、沖矢さんとのことも今の状況も現実だ。
誤解をときたくてもとく方法はないし、誰かに相談したくてもそれを小川さんに知られれば安室さんに話されてしまうかもしれない。
だからといってこのまま安室さんに迷惑をかけるわけにもいかず悩んでいると、いつの間にか隣にいた安室さんに声をかけられた。
「悩む必要はない。俺はずっとこのままでも構わないからな」
そんなことを言われたら私の顔は真っ赤に染まる。
まるでプロポーズみたいな言葉。
それもいつもの安室さんではなく、この口調は降谷さん。
情報を知る人間を自分のそばに置いておきたいと思うのは当然で、私が工藤邸に住まわせてもらってる理由も、沖矢さんとコナン君の目が届くところにいる必要があるから。
それは信用してないからではなくて、私が組織に目をつけられたりしないよう守るため。
それと同じ理由で安室さんも言ってくれてるだけなのに、それをプロポーズに聞こえてしまうなんて恥ずかしすぎる。
「顔が赤いようですが大丈夫ですか?」
「は、はい! 全然大丈夫です!!」
ガッツポーズをして応える私は全然大丈夫ではなかったけど、少ししてようやく頬の熱がおさまるとポアロへ行く準備をする。
スマホのランプが点滅してることに気づいたけど、私は見ることはせずスマホを鞄にしまう。
その時見えたのは、未だ渡すことができていない沖矢さんへのプレゼント。
目頭が熱くなるのを感じながらも、視線を外し安室さんと家を出た。
ポアロには安室さんの車で一緒に向かう。
仕事をしている時だけは全てのことを考えずにいられた。
休憩時間には考えてしまって暗い表情になりかけたけど、心配をかけないために普段通りを貫く。
これからどうしたらいいのか自分でもわかっていないけど、もう工藤邸には帰れないということだけはわかる。
沖矢さんと過ごす毎日が幸せで、あの場所が私にとっての唯一の居場所だと思っていた。
それも今は無くなり、トリップした最初の頃を思い出す。
あの時も、行く場所がなくて不安だった。
コナン君に会いに行って、事情を説明して、工藤邸に住まわせてもらう事になって、この世界での居場所や、私を信じてくれる人ができた。
思い出したら泣いてしまうから考えちゃダメなのに、今までの事が頭に浮かんできてしまい、私は安室さんと梓さんに見られないようにお店の奥へと行く。
休憩時間が終わって仕事に戻るときには笑顔になる。
だから今だけは、泣くことを許してほしい。
「倉山さん」
「っ、安室さん……」
泣いているところを安室さんに見られるのはこれで2回目。
これ以上心配も迷惑もかけたくなくて、手遅れだとわかっていても慌てて涙を手で拭うと笑顔を作り「もう大丈夫ですから」と伝えてお店に戻ろうとすると、その体は背後から抱きしめられ動けなくなった。
「安室、さん……?」
「何故貴方はいつも無理ばかりするんですか。もう少し僕を頼ってください」
肩口で聞こえた声はどこか苦しげで、私はこの時初めて知った。
頼ることは迷惑で心配させてしまうだけだと思っていたけど、それをしないことで逆に苦しめてしまうこともあるんだと。
安室さんは私の事を信じてくれていて、昨日も理由を話さない私を家に置いてくれた。
それなのに私は、悩んでいることすら話さず一人で抱え込んでいた。
これじゃあ安室さんを信じてないと言ってるようなものだ。
私は自分が間違っていたことに気付き、不安に思っていることを話す。
この世界での唯一の居場所を失いどうしたらいいかわからないこと。
とある事で沖矢さんを裏切ってしまったこと。
それを全て安室さんは静かに聞いてくれた。
「そうでしたか。ですがその裏切ったという話、何か倉山さんには理由があったのではないでしょうか」
何故そう思うのか尋ねると、安室さんはフッと笑みを浮かべ「貴方は理由もなく人を傷付ける方ではありませんから」と言う。
その言葉が嬉しくてまた泣きそうになる。
小川さんが言っていることは全て違うのに、それを沖矢さんに伝えることができずにいた私の苦しみはその一言で救われた気がした。
「それと、倉山さんの居場所は僕が差し上げると昨日お伝えしましたよね。僕のそばでは居場所にはなりませんか?」
「そんなことないです」
イケメンさんと一緒で嫌な女性なんているはずがない。
安室さんのそばにいる事を許されるなんて幸せなことで嬉しいこと。
沖矢さんのことは気掛かりだけど、これ以上考えてもどうすることもできないのはわかる。
今は安室さんの優しさに甘えて、そして沖矢さんに話せるときがきたらその時は、話せなかったあの時の続きを話そうと決めた。
その後は、普段通りに仕事をしていたけど、夕方お客さんが落ち着き出した頃にベルが鳴る。
扉に体を向け「いらっしゃいませ」と言った先にいたのはコナン君。
きっと沖矢さんとのことはコナン君にも知られてるはず。
そう思っていたけど、コナン君が発した言葉は「倉山さん、昴さんと何かあったの?」だった。
すでに話は伝わってると思っていたけど実際は違った。
コナン君が言うには、あの後私と連絡がつかなくなった沖矢さんはコナン君に連絡をして、ポアロに出勤しているか確かめてほしいと頼んだようだ。
何故コナン君に話さなかったのか。
沖矢さんからすれば、私は自分の正体を安室さんに教えようとした裏切り者。
その他の情報だって漏らす危険性があるのに、コナン君に話さない理由なんてないはず。