6章 謎の女性は積極的です
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
倉山 紅那(くらやま くれな)
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「そのままでも大丈夫ですし、刻みたい名前があれば購入したあとでもお店で刻んでもらえるみたいです」
「ありがとうございます。大切にしますね」
ニコリと笑みを浮かべられ、喜んでもらえたことにホッとする。
安室さんと別れたあとは沖矢さんとの待ち合わせ場所へ向かう。
帰りなら二人きりになれるから渡すチャンスだと思って、実は沖矢さんへのプレゼントも持ってきていた。
安室さんと同じ物だけど、沖矢さんのチャームは銃。
勿論こっちのも名前は刻んでいない。
ストラップなら安室さんも沖矢さんも使えるし、何より車と銃のチャームを見た瞬間コレだと思い選んだ。
安室さんには気に入ってもらえたけど、沖矢さんはどうか少し心配でもある。
紙袋の取っ手をきゅっと握りながら歩いた先に、いつもの車が見えてきた。
丁度沖矢さんが車から降りたので声をかけようとすると、助手席から小川さんが降りた。
何で小川さんがいるのかはわからないけど、今日もプレゼントは渡せそうにない。
私は紙袋をそっと鞄の中にしまい車に近付くと、二人の話し声が聞こえて足を止める。
「倉山さんに聞いても答えてくれないと思いますよー」
「そうだとしても、直接聞く必要がありますから」
「さっきも言いましたけど、倉山さんが沖矢さんの正体を安室さんに話そうとしてたんですってばー」
話の内容を聞く限り、今日のポアロでの休憩中に小川さんが安室さんに話してた内容だと思うけど、それを私がしたことにしようとしてるみたい。
逆ハーを望む小川さんにとって私は邪魔な存在。
それも今日、安室さんに拒否されたから苛立ちが私に向いたんだろう。
安室さんは情報を得る事より私の事を信じてくれた。
それは小川さんにとって面白くないことだ。
事実を話して沖矢さんは納得してくれるだろうかと不安になるけど、安室さんの時みたいに後悔はしたくない。
私を信じてくれて、仲間だと言ってくれた沖矢さんを私も信じる。
「沖矢さん、話は聞きました。小川さんが言ってることは──」
「倉山さんお疲れ様ー」
嘘ですと続けようとした言葉を遮り小川さんが近づいてきたかと思えば「嘘だって言ったら、あのこと安室さんに話しちゃうよ」と耳打ちされた。
いくら安室さんから聞くことはなくても、小川さんが安室さんに話せば意味がない。
「ごめんなさい。話遮っちゃいました。続きをどうぞー」
勝ち誇った笑みを浮かべる小川さん。
私の言葉を待つ沖矢さん。
でも、私は何も言えない。
今安室さんに沖矢さんの正体を知られれば、安室さんは怒りに任せてしまう可能性がある。
赤井さんが諸伏さんを自決させたという誤解すら解けていない現状で知られるわけにはいかない。
「何も言えないですよねー。ね? 沖矢さん、私が話したとおりでしょ」
私はその場にいることができず逃げ出した。
何を言ったところで、小川さんが言っていることが嘘だと言えない以上、沖矢さんに疑われる。
そんなの耐えられない。
本当は違うって言いたい。
沖矢さんの信じてくれた思いを裏切りたくない。
行く宛もなく走っていたらポアロまで戻って来てしまった。
さっきの場所から近いからもう少し離れたいけど、どうしていいかわからず地面にしゃがみこむ。
この世界で私が帰れる場所は工藤邸だけで、他に行く宛なんてない。
だからといってこのまま戻ることもできず困っていたとき、一人の人物の顔が頭に浮かび、私は鞄からスマホを取り出すとその人にメールを送った。
それから直ぐその人物は私の元にやってきて羽織を掛けてくれた。
「ここにいては風邪を引きますから、車に乗ってください」
優しい声音の主は安室さん。
車の助手席に乗ると安室さんの家に連れられ、冷えきった体を温めるようにとお風呂に入るように言われ頭からシャワーをかける。
その温かさに自然と涙が溢れ、しばらくしてお風呂から出た私は用意されたシャツを着るとリビングへ行く。
安室さんは私に視線を向けると何があったのか尋ねてくるけど、内容を話すことはできず黙り込む。
いきなりメールで「ポアロに戻ったんですが、どうしたらいいのかわからなくて」なんて送っておいて何も話せない自分が申し訳ない。
どう説明するとしても、私が隠していることに沖矢さんが関係していることが知られてしまうから、沖矢さんのことを怪しんでいる安室さんに下手に話すことはできない。
「すみません、詳しくお話はできません。ただ、居場所がなくなってしまいました……」
「居場所なら僕が差し上げますよ。理由はわかりませんが状況やメールでの文を見る限り工藤邸に帰れないようですね」
安室さんはそれ以上私に聞くことはせず、ここに居ることを許してくれた。
「なんで安室さんは、私にそこまでしてくれるんですか?」
「簡単なことです。僕にとってあなたが特別だからですよ」
それはトリップして来た人間で、安室さんのことや組織のことを知っているからということだろうか。
本当なら私なんてお荷物でしかないのに、安室さんは何も話さない私を今も信じてくれている。
しっかり説明すれば沖矢さんの正体を話してもわかってもらえそうだけど、これは二人の問題。
赤井さんが話さずにいるのに私が教えるわけにはいかない。
「そろそろ休みましょうか。明日もポアロでの仕事がありますからね」
畳の上には一つしかない布団。
お客様用なんてあるはずもなく、安室さんは私に布団で眠るように言ってくれるけど、迷惑をかけているのにこんな寒い中私だけ布団でなんて眠れるはずがない。
どちらも引かないやり取りが繰り返されて一体何がどうなってこうなったのか、一つの布団に二人で眠ることになった。
お互い背中を向けて横になってはいるけど、背に人の体温を感じて鼓動が高鳴る。
沖矢さんに誤解されたままである現状が不安でもあるけど、今は自分が眠れるかということで頭が一杯。
可愛くもなく美人でもない、普通の見た目の女相手に安室さんは何も思わないかもしれないけど、私は一人意識してしまう。
こんなこと考えてる場合じゃないのに、鼓動の高鳴りは静寂の中響いて聞こえ、意識しないなんて無理だった。
少しでも他のことをして落ち着かせようとスマホの電源を入れると、沖矢さんからのメールと着信が数件表示された。
何も言わず逃げた私。
間違いなく小川さんの言葉を沖矢さんは信じたはず。
裏切った私をもう仲間とは思ってもらえない。
その現実から目を逸らすように、私はメールから目を背けると電源を切り眠りに逃げた。